大学院の同期と後輩が本を出しまして~コンカレントトレーニング~
先日、大学院の後輩から、「佐々部さん、本出すんで是非読んで感想聞かせてください!」と連絡を受けました。
どうやら大学院の後輩と大学院同期と、大学~大学院でお世話になった先生が共著で翻訳本を出版するとのこと。
よくよく詳細を聞いてみると、その基になっている本の著者の一人が僕のめちゃくちゃ好きな研究者の1人、ノルウェーの研究者のBent R. Rønnestad先生。
もう読むしかないと思ってすぐに送ってもらいました。
本日はその本の内容・感想を怒られない程度に紹介してみようと思います!
そもそもコンカレントトレーニングとは?
そもそもコンカレントトレーニング(Concurrent Training)とは、筋力orパワー系のトレーニングと、持久的なトレーニングを同時期に行うというトレーニングです。
(Concurrentは日本語で同時多発的といった意味です)
わざわざ名前がついているものの、正直そんなの日本のアスリートの大多数がすでにやっていることですよね。
論文とかでConcurrent Trainingといったワードが入っているときは、だいたい持久的トレーニングを行うことによる筋力・パワー系トレーニングの効果への干渉作用についてです。
以前も当ブログで紹介したこういうやつですね⇓
持久力も筋力・パワーも必要なアスリートにとって、この干渉作用は好ましいものではありませんね。
僕自身、このあたりの情報は常にキャッチしておこうと多くの論文を読んではいるのですが、さすがにRønnestad先生たち第一人者には及ばないのでさっそく勉強させてもらいました。
書籍の内容の紹介
目次は以下のような感じです!
①持久性トレーニングとレジスタンストレーニング
それぞれのトレーニングの分子・神経的適応について
②相互干渉作用
どのようなメカニズムで干渉作用が生じるか?
実際どの程度の干渉作用があるか?(上記で紹介した研究も紹介されてました)
③コンカレントトレーニングにおける方法論的考察
どういった場合に相互干渉作用が強くなるかや、リカバリー・栄養的戦略について
④各年代のコンカレントトレーニング
児童、青年、高齢者でそれぞれどのような作用の違いがあるか
⑤アスリートのパフォーマンス向上のためのコンカレントトレーニング
サイクリスト、スイマー、サッカー選手など、競技別の知見を紹介
感想
正直、僕自身が読む研究は③がメイン、⑤もぼちぼちといった感じだったので、そもそものメカニズムを一から学べたのは良かったです!
また、さすがその分野のトップを走ってる研究者たちが書いただけあって、②~⑤の内容も初めて知る研究も盛沢山でした。
僕のイメージだと、コンカレントトレーニングの研究は、『筋力・パワーの向上を持久的トレーニングが阻害するが、それをいかに抑えるか?』といったものですが、
この書籍の中では『持久系アスリートが筋力・パワー系のトレーニングを実施するとどういったメリットがあるか』といった視点からも解説されていたので、そちらの知見も得られて面白かったです!
こういった書籍は翻訳がすごい専門的な言葉に偏って読みづらいことも多いのですが、さすが優秀な同期と後輩が書いただけあって、なかなか読みやすくまとめられてます。
また、専門書だけあって『やはりある程度研究の基礎知識がないとしんどいかな?』とも思ったのですが、体育系大学・専門学校で勉強した学生レベルであれば割とすんなり読めるかなといった感じでした!
高校生レベルだと全体を理解するのは苦労するかもしれないですが、割と研究結果も図表で解説されてるし、このトレーニングの実施方法よりはこちらの実施方法のほうが良いんだ。程度のことは全然理解できそうです!
(例えば、筋力の向上を邪魔したくなければランニングよりもバイクのトレーニングのほうが良い。等)
ただ、この書籍の英語版が発刊されたのは2019年で、引用されている研究は2017~2018年頃まで。
この研究領域は本当に発展途上の分野なので、この本でその年代までの研究を抑えて、その後の情報はアンテナを張ってキャッチする。といった使い方が良さそうです!
執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)
あらかじめ簡単な感想を送ったら、プレスリリースのページにコメントを掲載していただけました!なんか専門家っぽい!笑
(PR TIMESでのプレスリリース)
購入はこちらアマゾンのページから出来るそうです⇓是非!
(本売れたら後輩が印税で叙々苑おごってくれることを期待しておきます!笑)
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