【第174回】数値が上がってもパフォーマンスは上がらない?~数字から逃げない!数字に逃げない!~

「スクワットの最大挙上重量(1RM)」「20mシャトルランの回数」「スプリントスピード」「垂直跳び」

フィジカル的な要素というものの多くは「数字」で表すことが出来ます。

トレーニングをおこなっていくうえで、この数字を追っていって成果を確認することは非常に重要だと考えられます。

ただ一方で「数字ばっかり追いかけていたらスポーツのパフォーマンスは上がらない!」といった意見もSNSで目にすることもあります。

そういった意見を聞いたとき「今やっている測定とかトレーニングって意味がないんじゃ。。」と思ってしまう選手もいるかもしれません。

僕はそのあたりについてどう考えているかというと、

✓数字から逃げない

✓数字に逃げない

この2つがめちゃくちゃ大切だと考えています。

数字から逃げない

本当に数字は必要ないか、思考実験をしてみましょう。

バスケットボール、サッカー、ハンドボールなどの球技スポーツを思い浮かべてください。

AとBの2つのチームがあります。両チームとも「選手の身長」「競技歴」には差はありません。

Aのチームの選手の体力測定の結果は
スクワット・・・・・180㎏
20mシャトルラン・・150回
50m走・・・・・・・6.0秒

Bのチームの選手の体力測定の結果は
スクワット・・・・・80㎏
20mシャトルラン・・90回
50m走・・・・・・・8.0秒

現実的にはありえないですが、各チームの体力が全員上記の通りだとしましょう。

他の事前情報は分かりません。どっちのチームが勝つ可能性が高いと思いますか?

おそらく、多くの方々がAだと予想するのではないでしょうか。

「そんな極端な差があったらそりゃ競技パフォーマンスも違うに決まってるじゃないか!」

と思われるかもしえませんが、この差がもし半分なら半分のアドバンテージ、4分の1なら4分の1のアドバンテージになります。ただ、アドバンテージはアドバンテージですよね。体力(筋力・持久力・スピードetc.)は高いに越したことはないです。

こうやって数値化できる体力ももちろん大事ですが、

✓身体操作性

✓反応を伴うリアクション速度

など、どうしても数値化しづらい部分ももちろん大切です。

ただ、明らかに重要で、なおかつ数値化できる部分から目を背けるのは良くないですよね。

例えば「身体操作性」が上がったら「スピード」や「キレ」が出るのであれば、ちゃんと50m走なりアジリティのテストで測定すれば良いので。

✓数字から逃げない

というのは、我々トレーニング指導者も、選手自身も非常に大切なことです。

数字に逃げない

とはいえ上記で挙げたAのチーム(体力に秀でたチーム)がBのチーム(体力が低いチーム)に負けることはあります。

それはフィジカルだけでなく、スキルや戦術理解、メンタルやその日のコンディションなど、多くの要因がスポーツに絡むから当たりまえですよね。

(ただ経験上、スクワット180㎏、シャトルラン150回、50m走6.0秒まで仕上げてくるような集団はめちゃくちゃストイックなので、競技練習のクオリティも非常に高いことが多いです)

フィジカルの数字に逃げすぎて、他の要因がおろそかになるのも良くないです。

「数字に逃げる」の例としては

✓トレーニングにばかり労力を割いてしまい、競技練習がおろそかになる

✓スクワットで数字を追い求めるあまり、極端なフォームになる(極端なワイドデッド、めちゃくちゃ浅いスクワット)

✓重量ばかり追い求めて、可動性、安定性や身体操作性的なところへの介入が皆無

あたりでしょうか。

数字から逃げるもダメですが、アスリートの場合上記のように数字に逃げることもナンセンスです。

逆説的ですが、呼吸や足の指の使い方、股関節の使い方の習得など数字では表れないことにもこだわれたほうがスクワットの重量や垂直跳びの数値につながりますからね。

✓数字に逃げないことが結果的に数字にも競技パフォーマンスにも繋がっていきます。

まとめ

✓数字から逃げない

✓数字に逃げない

トレーニングをするうえで、指導するうえで大事な2つを伝える回でした。

意外とどちらかに当てはまっている方もいるのではないでしょうか。

ぜひ一度ご自身の取り組みを振り返って、伸びしろを見つけてみてください!

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)


久々のブログになりました。

ここ最近は激忙しデイズをいつも過ごさせてもらっているのですが、気晴らしにブログを書いたら意外と本当に気晴らしになりました。

2022年の9月に入学した博士課程の3年間のうち、もうすぐ2年半が経過しますが最後の追い込み期間です。(3年で修了できる保証はまだ無いですが笑)

晴れて博士の学位を取得出来たら皆さんに還元出来るような取り組みもたくさんしていこうと思っているので、楽しみにしていてください!

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