【第102回】男女の筋力、パワーの比率

S&Cコーチをしていると、異なる年代・カテゴリ、競技、男女と、様々な選手を指導する機会があります。

僕自身も女子バスケットボールチームの指導をしていますが、その指導を始めた当初は、「女子ってどれくらいの筋力を目標に獲得できれば良いのだろう。。」という迷いというか疑問が生まれました。

僕自身も男性で、今まで指導した選手も男子選手が多かったので、男子選手に対してはおおよそこれくらいの筋力は最低限身に着けて欲しいな、これくらいいけばすごいなといった感覚は持っていました。

そこでとある方法を用いて男女の筋力の差、比率について考えたものを今回はシェアしようと思います。

男女の筋力比

これは僕自身の経験になりますが、男子の選手のほうが女子選手よりも「筋トレが好き」な人の割合が多いです。

特にこの時期になると「夏ボディ!」なんて言いながらせっせといつも以上に上半身トレーニングに取り組む選手も増えてきます。(やるべきことをやっているのであれば止めません)

またこれも主観になりますが、男子チームのほうが文化としてウエイトトレーニングが浸透している割合も多い気がします。

「じゃあ女子選手が本気でウエイトトレーニングに取り組んだら、どの程度筋力がつくのか?」

という疑問の解決のために、筋力向上のスペシャリスト=パワーリフティング選手の記録から、男女の筋力比を探ってみました。

●男女比の算出方法

①パワーリフティング(スクワット、ベンチプレス)の日本記録から、各階級の記録の体重比筋力を算出

②各階級で算出された体重比筋力の、全階級の平均を男女それぞれで算出

③算出された全階級の比率から、男女の体重比筋力の比率(=男女の筋力比)を算出

といった流れで簡易的に出してみました。

もちろん、トップオブトップの選手たちの記録なので、一般的な値からみたら外れ値になるとは思いますが、参考程度に。

参考:ノーギア日本記録一覧表

女子の筋力については

●スクワット⇒男子の3/4程度

●ベンチプレス⇒男子の2/3程度

と、上半身と下半身で異なる結果が出ました。

例えばこれがどんな活かし方ができるかと言うと、、

以前の記事でも紹介した、関東大学バスケのフィジカル測定ランキング(2018)を例に。

ガードの選手のスクワットの上位選手の挙上重量は平均172㎏
体重の明記はありませんが、80㎏程度だと思われるので、172/80=2.15
大学男子トップ選手のスクワットの体重比は2.15!

先ほどの男女比0.77を用いて、2.15×0.77=1.66

大学女子選手でもトレーニングを極めれば体重×1.66(体重60㎏であれば100㎏)のスクワットは挙上可能?

と考えられます。

男女のパワー比

同様の方法で、ウエイトリフティングの日本記録から男女比を算出しました。

参考:ウエイトリフティング旧階級日本記録

スナッチ(SN)、クリーン&ジャーク(CL&JK)ともに、女子の記録は男子の3/4程度と、スクワットに近い比率となりました。

これはパワーといっても、比較的最大筋力の関与が大きい高負荷パワーになりますので、垂直跳びになるとまた違ってくるかもしれませんね。

まとめ

結果として、トップレベルのリフターの比率では

下半身の筋力、全身のパワー発揮については
女子は男子の3/4程度

上半身の筋力については
女子は男子の2/3程度

を示しました。

もちろん、方法論としては色々穴はあるので(モーメントアーム、ホルモン適応、外れ値である可能性、、)あくまでも参考程度に。

女子選手の皆さんは、となりの男子選手が体重比で1.6倍のスクワットをしているところ、あなたが1.2倍以上で行っていればあなたのほうが強いということ。マウンティングにでも活用してください!(笑)


前日は午前にHALEOのセミナーに参加、午後に自主開催セミナーを行いました。

インプットもできてアウトプットもできて、いろんな人とお話できて、良き1日でした!

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