【第123回】アスリート必見。連動性(?)を高めるためのトレーニング

「連動性を高めたい」

よくアスリートからこのような相談を受け付けます。

そこに関しては言わんとしていることは十分に分かるのですが

「そのためのトレーニングを教えてくれ」

と言われると、少し言葉に詰まってしまいます。

今回の記事では、

🔻連動性っていったい何なの?

🔻それってトレーニングで高めることができるの?

といったことを考えていきましょう!

「連動性」の意味

「連動」とは、

”ある部分を動かすと、それに応じて他の部分も動くこと。”

と辞書では表されています。(Weblio辞書)

そのため「連動性がある」ということをスポーツに当てはめて意訳すると、

『目的に沿った技術を、うまく全身の動きを使って遂行する能力がある』

『全身をうまく使える能力がある』

といったニュアンスでしょうか。

確かにそれはめっちゃアスリートには必要な能力ですね。

それじゃあそれってトレーニングで高めることが出来るの?

っていうことを考えていきましょう。

連動性(=全身をうまく使える能力)を高めるには?

全身をうまく使うには

①行いたい動作をするための全身の柔軟性、筋力やパワーを高める

②全身をうまく使う練習をする

主に2つのアプローチが考えられます。

例えば野球のバッティングであれば、軸足から前脚に体重移動をして、踏み込みのタイミングで股関節・骨盤を回旋、胸椎の回旋、上肢の動きと力を伝えていきますよね。

この動きを効率良く、力強く実施するにも(スイングスピードを高めるにも)、上記の①②が必要です。

もちろんそれはバスケのシュートやサッカーのシュートなど、他の技術にも同じことが言えるでしょう。

①行いたい動作をするための全身の柔軟性、筋力やパワーを高める

そのためにも、下半身、体幹部、上半身など、その技術に必要な部位を余すことなく鍛える必要があります。

例えば、下半身で大きな力を生み出せても、体幹部、上肢でそれを伝える筋力がなければ意味がないですよね。

また、筋力やパワーだけでなく、その動作を効率的に実施するための柔軟性も必要です。

しかし一方で、トレーニングはあくまでもトレーニング。

必要な部位の鍛錬を行ったからと言って、直接的に連動性が高まるわけではありません。

確かに、クリーンやスナッチなどのクイックリフトも全身の連動性が必要です。

しかしそこで高めた連動性がバッティングの連動性にも100%転移するとしたら、素振りも野球もしたことのないウエイトリフターのスイングスピードがイチロー選手やバリーボンズよりも速くなるってこともあり得ますが、さすがにそれはないですよね。

『連動性』という魔法の能力があるわけではなく、『各運動課題に応じた連動性(≒技能)がある』と考えるべきでしょう。

極論、背伸びをして本棚の本を取る動きにも連動性は必要ですしね。

テニスのサーブとバドミントンのスマッシュなど、類似する運動課題の場合は技能の転移(共通の連動性の獲得)は起こりうるかもしれませんが、そうでなければまったく違う動作のトレーニングをすることで動作の連動性が向上するということなないでしょう。

もちろん、先述している通り、身体を連動させるために必要な各部位の筋力、パワー、柔軟性をトレーニングやストレッチで高めるといったことは可能だと考えられます。

②全身をうまく使う練習をする

ここに関してはもうほんまに一言で、『しっかりと練習をすること』です。

そこに少しアドバイスを加えるとしたら、必要な動作・柔軟性を把握したうえで、技術練習の前に必要なストレッチやアクティベーションを実施するのも良いかもしれません。

例えば

●バスケのシュートで腕を上に伸ばしたいのに、どうしても腕が前に伸びてしまう

●肩の屈曲可動域(まっすぐ腕を上に挙げる動き)に制限がある

だとすると、可動域制限のせいで行いたい動きが出来てない可能性もありますよね。

その場合は、技術練習の前にその部位のストレッチをするなども有効かもしれません。

まとめ

🔻『連動性』という魔法の能力があるわけではなく、『各運動課題に応じた連動性(≒技能)がある』

🔻その動作に必要な筋力・パワー・柔軟性などはトレーニングやストレッチで高められる

🔻最後は結局そこを使いこなすための技術練習

🔻身体のどこかに連動性(≒技能)発揮の制限がある場合はストレッチやアクティベーションで改善可能かも

といった内容でした。

ざっくり言うと

『連動をさせるためのパーツを鍛える・整えるためにはトレーニング、その各パーツを連動させるためにはその動きの練習をしましょうね』

ということになります。

トレーニングを行うでキーになるのは、必要な筋力を全身バランス良く実施すること。

そういった意味では意外と回旋系のトレーニングなんかは見落とされがちなケースは多いように思えます。

実際、素振りに加えて回旋系のトレーニングの実施をすることで、野球のスイングスピードが向上したという報告もありますしね。

#45 Szymanski et al., 2007

ただ、どんな競技であっても原則は『全身バランスよく鍛えること』

連動性が欲しいと言いながらスクワットをサボってベンチプレスばっかりやってるのは行動が支離滅裂です。

今一度自身のトレーニングを見直してみてください!

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)


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参考文献

  1. Szymanski, DJ, McIntyre, JS, Szymanski, JM, Jason Bradford, T, Schade, RL, Madsen, NH, et al. Effect of torso rotational strength on angular hip, angular shoulder, and linear bat velocities of high school baseball players. J Strength Cond Res 21: 1117–1125, 2007.

 

 

 

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