【第114回】体幹系トレーニングを実施する目的
一時期から比べるとブームが過ぎ去ってきたように思える体幹トレーニング。
下半身で生み出したパワーを全身に伝えるためには体幹部の安定性は確かに重要です。
しかしながら下半身で生み出すパワー自体が小さければ、いくら体幹部を鍛えようともパフォーマンスは頭うちになりますよね。
とはいえ体幹部のトレーニングが重要なピースの1つであることには間違いありません。
本日は体幹部、特に腹筋のトレーニングをするときに意識しなければいけないことを紹介します。
体幹部のトレーニングの目的
まずはこちらをご覧ください。
この図の左側でもわかる通り、腹直筋のEMG(≒筋活動)はバックスクワットではあまり高くなっておらず、どちらかと言えばフロントプランク(フロントブリッジ)のほうが高いEMGを示しています。
かかっている負荷の方向から考えても、スクワットではバーの負荷に対して腰が丸まらないように力を出す一方で、フロントブリッジではお腹が落ちない(≒腰が反らない)ように力を出すので、この結果はうなずけますよね。
デッドリフトなども同様で、基本的には下半身のフリーウエイトでは腰が丸まる方向に負荷がかかり、その負荷に対抗するため、体幹部後面の働きが大きくなると考えられます。
この研究でもあるように、体幹部を
・前面(腹直筋など)
・側面(腹斜筋など)
・後面(脊柱起立筋など)
に分けて考えると、
フリーウエイトでは体幹部後面を中心に鍛えられるが、体幹部前面や側面の負荷は小さい⇒その部分は個別に鍛える必要がある。
といったことが考えられます。
以下のメタアナリシスでも、体幹トレーニングは競技パフォーマンス(タイムトライアルなど)に直接影響を及ぼさなかったものの、パワー発揮に対してはポジティブな影響を与える傾向が示されています。
そのため、メインのトレーニングにはなり得ないかもしれませんが、間接的にパフォーマンスを高めるための1つのピースとしては重要だと考えられます。
漸進性過負荷をかける
先ほど紹介した研究において、フロントブリッジなどのトレーニングでは、スクワットと比較して体幹部前面のEMG(≒筋活動)が大きいと説明しました。
しかしながら出している力は最大出力の50%以下と、筋力向上には十分ではありません。
そのためある程度負荷をかける必要があるのですが、その中でもおススメのトレーニングが、アブローラーを用いたトレーニングです。
スーパーセットでアブローラーと交互に。
ケツ締め骨盤後傾キープでやると地味なしんどさがあります。
(これ以上遠くにいくとケツの力抜けちゃう。。)『おすすめのたいかんトレーニング教えてください』って聞かれたらこの2つを答えることが多いです。笑 pic.twitter.com/bATEr4gt1K
— 佐々部孝紀(Koki Sasabe) (@tyr7bbb) February 16, 2020
実施するときのポイントとしては
・動作中、常にお尻を締めるように力を入れる
・お尻の力が抜けない範囲で動かす(抜ける直前で戻ってくる)
です。
しっかりと追い込むと次の日の腹筋がえらいことになります。
最初は低回数(5回を3~4セット)から初めてみても良いかもしれませんね。
あまり実施したことがなければどうしてもお尻は抜けてしまうと思うので、地面に膝をついて実施しても良いでしょう。
目的によってはあえてお尻の力を抜いて、骨盤を前傾させて実施したほうが良いかもしれませんが、アスリートのトレーニングとして実施するならお尻の力を入れて実施したほうをおススメします。
次回のブログでは、何故お尻を締めたほうが良いのかの理由と、アブローラーなどの器具がなくても実施できるトレーニングを紹介しようと思います!
執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)
先日ツイッターでブログ内にも挙げた動画をツイートをしたら、フォームのことについてフォロワーの方と議論させていただき、非常に頭の整理になりました!
2月24日(月・祝)のセミナーも、午前中に実技セミナー・午後に座学セミナーを実施予定ですが、午前の実技セミナーはリリース後すぐに満席になってしまいました。(ありがとうございます!まだ午後の座学は空いているのでこちらから!)
やっぱり情報としては知識だけではなく、そういったスキル的なものの需要も高いんだなということも実感したので、今後は実技関連のことも積極的に発信していこうと思います!
参考文献
- Aspe, RR and Swinton, PA. Electromyographic and Kinetic Comparison of the Back Squat and Overhead Squat. J Strength Cond Res 28: 2827–2836, 2014.Available from: http://search.ebscohost.com/login.aspx?direct=true&db=s3h&AN=98785613&site=ehost-live%5Cnhttp://content.wkhealth.com/linkback/openurl?sid=WKPTLP:landingpage&an=00124278-201410000-00017
- Prieske, O, Muehlbauer, T, and Granacher, U. The Role of Trunk Muscle Strength for Physical Fitness and Athletic Performance in Trained Individuals: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sport Med 46: 401–419, 2016.
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