【第60回】筋肥大には短いレスト??

筋肥大をさせるためには「10RM10回×3~5セット、レスト1分~1分半!」

学生時代にトレーニングの参考書を読んだとき、だいたいこんな感じのことが書いてありました。

筋肥大をするために必要な要素としては、
・機械的張力(筋の受動的伸長・力発揮)
・筋ダメージ
・代謝ストレス(乳酸、H+などの蓄積)
が重要だと言われています。(Schoenfeld, 2010)

高回数・短いレストで行うことで、筋に代謝的なストレスをかける(筋肉をパンパンにする)ことができ、効率的に筋肥大ができる。という理論から「レスト1分~1分半」というものがうたわれていたと思います。

当時はそれを盲信して行っていましたが、実は「レストは短くなくても筋肥大するんじゃないの?」という研究も発表されているんです。

《SHORT VS. LONG REST PERIOD BETWEEN THE SETS IN HYPERTROPHIC RESISTANCE TRAINING: INFLUENCE ON MUSCLE STRENGTH, SIZE, AND HORMONAL ADAPTATIONS IN TRAINED MEN》
《筋肥大を目的としたウエイトトレーニング中の長いレスト、短いレストの比較-筋力、筋サイズ、ホルモン適応への影響》
(JUHA P. AHTIAINEN et al, 2002)


【方法】

被験者:男性13名
クロスオーバーデザインにて、長いレスト(LR)、短いレスト(SR)をそれぞれ3か月ずつ行った。

LR:レッグプレス10回5セット、スクワット10回3セット、レスト5分
SR:レッグプレス10回5セット、スクワット10回4セット、レスト2分
↑LRのほうが重い重さを扱えるので、ボリューム(回数×重量)をそろえるためにSRのスクワットを1セット多め

【結果】
筋断面積(CSA)変化
LR:1.8±3.6%↑ (pre-post, p>0.05)
SR:1.8±4.7%↑ (pre-post, p>0.05)
群間有意差なし (p>0.05)

両膝伸展筋力
LR:5.8±8.0%↑  (pre-post, p<0.05)
SR:2.0±10.9%↑ (pre-post, p>0.05)
群間有意差なし (p>0.05)


上記のように、短いレスト(2分)が長いレスト(5分)よりもより筋肥大を起こすということは認められませんでした。

なんならLRでは十分な回復が見込まれ、トレーニングの強度が上がっているせいか、筋力の向上はLRでのみ認められています。
(ただ筋肥大にのみ着目すると、時間的効率はSRのほうが良いかもしれません)

この研究自体にいくつか問題点は見られるのですが(20人中7人が怪我でドロップアウト、CSAは向上しているが有意ではない、ホルモン反応の違いが一部のタイミングでしか認められていないなど)、

筋肥大=短いレスト

といった考えに疑問を投げかける研究にはなっていると思います。

ひと昔前は当たり前のように運動前に行われていた静的ストレッチも、今や逆効果だということは世に広まってきていますよね。
それと同じく今までは常識と考えられてきたこと(なんなら、教科書に載っていたこと)に実は十分な科学的な根拠がなく、意味もなくただ常識に従っている。なんてことはよくあります。

そんな常識に振り回されないためにも、常に最新の正しい情報を入手していきたいですよね。


【お知らせ】
10/21(土)に、兵庫県尼崎市でNSCA地域ディレクターセミナーの講師を担当します。

当サイトでは紹介していない科学的データや、その現場での活用方法についてお話させていただきます。

お時間のある人は是非!

詳細

 

参考文献

Ahtiainen, J. P., Pakarinen, A., Alen, M., Kraemer, W. J., & Häkkinen, K. (2005). Short vs. Long Rest Period Between the Sets in Hypertrophic Resistance Training: Influence on Muscle Strength, Size, and Hormonal Adaptations in Trained Men. The Journal of Strength and Conditioning Research, 19(3), 572. https://doi.org/10.1519/15604.1

Schoenfeld, B. J. (2010). The mechanisms of muscle hypertrophy and their application to resistance training. Journal of Strength & Conditioning Research, 24(10), 2857–2872. https://doi.org/10.1519/JSC.0b013e3181e840f3

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。