最近SNSやセミナーでも『呼吸』の重要性について目にする機会は増えましたよね。
ウエイトトレーニング等のベーシックなエクササイズと並行して、必要に応じて呼吸のエクササイズを処方出来る能力は、今後のトレーニング指導者にも求められてくるかもしれません。
僕自身まだそのあたりの介入については勉強中ですが、ストレングス&コンディショニングの専門家であればそれとは別に『ウエイトトレーニング中の呼吸』についてはきちんと整理しておく必要がありますよね。
今回はいわゆる『呼吸のエクササイズ』ではなく、『ウエイトトレーニング中の呼吸』について解説していきます。
レジスタンストレーニング時の呼吸の役割
スクワットやデッドリフト時の呼吸について考えるとき、呼吸が果たす役割は何でしょうか?
1つは『脊椎の安定性の獲得』です。
これはイメージしやすいですよね。
呼吸をすることで横隔膜や腹横筋といった、呼吸に関与する筋肉が収縮します。
これらの筋肉は呼吸だけではなくて、IAP(Intra Abdominal Pressure)、日本語でいうところの腹腔内圧(いわゆる腹圧)を高めることに寄与します。
腹部の筋群の活動によってIAPが高まり、それによって脊椎の安定性が高まるということも報告されています(Stokes et al., 2011)。
また呼吸のポイントを抑えることで、トレーニング中にターゲットとなる下肢の筋肉に効果的に刺激を入れることも可能になります。
呼吸と下肢の筋肉の活動の関係
Tayashikiら(2021)は運動習慣のある男性を対象に
・吸気時(息を吸った時)
・通常時
・呼気時(息を吐いた時)
の3つの条件で股関節伸展、屈曲、膝関節伸展、屈曲のそれぞれ4つ運動を行わせ
✓そのときのIAP
✓下肢の筋のEMG
✓関節の発揮トルク
を比較しました。 続きを読む 【第158回】スクワット中の呼吸ってどうしてる?レジスタンストレーニング中の呼吸が下肢の筋に与える影響