【第145回】セット間レストのストレッチについて掘り下げる

前回の記事ではLatellaら(2019)のシステマティックレビューを基に、筋トレのセット間レストでスタティックストレッチ、ダイナミックストレッチ、有酸素運動、フォームローリングなどを実施したときの効果について紹介しました。

拮抗筋のスタティックストレッチや、主働筋を含むダイナミックストレッチはその後の挙上可能回数の増加などを示す研究が多かった一方で、主働筋のスタティックストレッチやフォームローリングは挙上可能回数などのパフォーマンスに悪影響を与える傾向があったとの話でした。

※主働筋:動作で主に使われる筋肉。アームカールでいうと上腕二頭筋など
 拮抗筋:動作で主に使われる筋肉と逆の働きをする筋。アームカールでいうと上腕三頭筋

めっちゃ端的に言うと「筋トレのレスト中にその部位のストレッチやると重量や回数低下するで」ってことになります。

とは言いつつも、僕自身や指導する選手のウエイトトレーニングのセット間レストで種目や選手の特徴によっては主働筋のスタティックストレッチを実施する場合もあります。

今回はその理由について掘り下げていきます。

スタティックストレッチの影響

前回の記事で紹介しましたし、このブログの過去の記事(【第54回】ストレッチの誤解)でも解説している通り、スタティックストレッチを運動前、もしくはレスト中に実施するとその後のパフォーマンスが低下することが知られています。

#16 Simic et al, 2013

そのため挙上重量や挙上回数に着目すると、トレーニング前にしろレスト中にしろ主働筋のスタティックストレッチは実施しないほうが良いということになります。

また前回の記事では「拮抗筋のストレッチであれば運動前、レスト中に実施したら挙上回数が向上する」ということも紹介しました。

ここで注意したいのが、「どんな種目でも拮抗筋のストレッチはトレーニングのパフォーマンスを上げるのか?」ということ。

実はLatellaら(2019)の研究の中で紹介されていた拮抗筋のストレッチの研究で扱われていた2つの研究はどちらもシーテッドロウを採用しているというところがポイントになります。

シーテッドロウはいわゆる『コントラクト種目』であり、特に僧帽筋や菱形筋に着目すると、筋を最大に収縮する種目になります。

その一方でコンセントリックの局面においては拮抗筋である大胸筋は伸長位になります。

このとき大胸筋が硬いと背面の筋の最大収縮がしづらくなるのは想像できますよね。

これを他の種目に当てはめるとどうでしょうか。

RDLとヒップスラストを例に考えてみましょう。

RDLの場合はコンセントリックの最終局面では立位姿勢になります。

このとき拮抗筋である腸腰筋や大腿直筋の硬さは動作の遂行を邪魔するでしょうか?

シーテッドロウに比べたらそうでもなさそうですね。

一方でヒップスラストでは膝が屈曲位の状態で股関節を伸展するので、大腿直筋が伸長されるポジションになります。

これはシーテッドロウと同じく、コンセントリックの最終局面で拮抗筋の硬さが動作の遂行を邪魔をしそうですね。

これは個人的な感想になるのですが、僕はヒップスラストのレストで大腿直筋をストレッチするとはちゃめちゃにやりやすくなります。(佐々部のモモ前が硬いからかもしれませんが)

RDLに話を戻すと、コンセントリックの最終局面では特別伸長される筋はないものの、エキセントリックの最終局面ではハムストリングがバチバチに伸ばされますよね。

主働筋のスタティックストレッチを行うことで挙上重量、挙上可能回数が減るかもとの話でしたが、しっかりと大きなレンジで動作を行いたい場合、主働筋であるハムストリングをストレッチしてからRDLを実施するという作戦もありではないでしょうか?

ちなみに僕自身もRDLの実施前にはおハムをストレッチする派です。

まとめ

少し推測の多い記事になってしまいましたが、「筋トレの実施前、レスト中にスタティックストレッチを導入するか?」という問いに対する答えは

・種目の特性による(コントラクト種目なのかストレッチ種目なのか)

・挙上重量や挙上回数を優先するのか、エクササイズ中の可動域の確保を優先するのか

・その選手のそもそもの筋の硬さ

によって違ってきますよねという話でした。

前回、今回の記事を通してアスリートに伝えたいのはストレッチの有効性の有無ではなく、『レストの時間、きちんと頭使ってる?』ということです。

前回、今回で紹介したアプローチを試してみるもよし。

そのセットのフォームをスマホで撮影して、次のセットで修正を試みるもよし。

もしもただただスマホを眺めて無駄に長いレストを過ごしがちな知り合いがいたら、この記事のURLを送りつけてください!

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)


最近は天気が荒れてる日が続きますね。

最近ミリタリープレスとデッドリフトのし過ぎのせいか(はたまた歳のせいか)肩、首ハリがとれなくなってきたのでリュックではなくキャリーケース通勤に切り替えたところめちゃくちゃ調子が良いです。

荷物が多い人にはおススメ!


参考文献

  1. Latella, C, Grgic, J, and Der Westhuizen, D Van. Effect of interset strategies on acute resistance training performance and physiological responses: A systematic review. J Strength Cond Res 33: S180–S193, 2019.
  2. Simic, L, Sarabon, N, and Markovic, G. Does pre-exercise static stretching inhibit maximal muscular performance? A meta-analytical review. Scand J Med Sci Sport 23: 131–148, 2013.

 

 

 

 

 

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。