【第135回】スポーツ選手も物理学を知ることでパフォーマンスが上がる?③モーメントアームについて理解する

スポーツ選手であっても身体や栄養のことを初め、多くのことを学ぶ必要があります。

その中の1つが『物理学』

以前の記事(こちらこちら)でも以下のようなものを解説しました。

🔻力積=力×加える時間

🔻ものを投げたり、物体に力を加える運動課題では力積を高めることが重要

🔻力積を高めるには力を大きくするだけでなく、大きな可動域を用いて長い時間力を加える戦略もとれる

🔻パワー=力×速度

🔻瞬発的な力発揮が求めらる運動課題全般においてパワーは重要

🔻パワー発揮は運動課題によって、大きな速度のパワー発揮もあれば大きな力のパワー発揮もある

今回は『モーメントアーム』につて解説していこうと思います。

支点、力点、作用点

モーメントアームについて理解するにあたって、まずは

・支点

・力点

・作用点

について理解しましょう。

てこの原理で考えると分かりやすいのですが、支点力点の距離に対して、支点作用点の距離が短くなると、より大きな力が発揮できます(=小さな力でも重い物を持ち上げられます)。

一方で、重りが持ち上がる高さは低くなります。

これを身体に置き換えるとこんな感じです。

前に伸ばした腕に重りをぶら下げている状態では、肩関節が支点、筋肉が骨を引っ張る点が力点、腕を引き下げる力の中心(≒重りの位置)が作用点になります。

筋肉の付着部は変えることができないので、以下からは支点作用点の距離を中心に解説していきます。

モーメントアームとは?

関節は基本的に回転運動を引き起こします。

その関節にかかる回転の力を『トルク』と言います。

※作用点の重りによってかかる回転の力を受動的なトルク、力点での力発揮における回転の力を能動的なトルクと言ったりもします。

そしてトルクは『重さ(力)』×『中心までの距離』で決まります。

その中心までの距離こそが『モーメントアーム』です。

トルク=力×モーメントアーム

なので、力が大きくなるか、モーメントアームが大きくなるかによってトルクは大きくなります。

図のように、重りの重さが2倍になれば受動的トルク(作用点でかかるトルク)は2倍になります。

腕を上げっぱなしにキープしておくには、能動的トルクも2倍にする必要があるので、力点で発揮する力も2倍になる必要があります。

一方で、重りの位置をより遠くに置き、モーメントアームが2倍になったときも受動的トルクは2倍になります。

筋肉のモーメントアームは変えられないので、この場合も力点で発揮する力は2倍になります。

スクワットやデッドリフトでのトルク

 

基本的に重りを扱った運動は、その重りに対して垂直に引いた線と関節との距離でモーメントアームが決まります。

※特に重りが重い場合は

そのためスクワットやデッドリフトにおいてはフォーム、特に体幹部の前傾角度が股関節と膝関節のモーメントアームに及ぼす影響は大きいです。

言い換えると、どの程度身体を前傾させるかによって膝主働の動作か、股関節主働の動作かが決まります。

もちろん同じ種目であっても身体の使い方で股関節、膝関節それぞれのモーメントアームの割合は変わってきますが、膝主働になりやすい種目(例:フロントスクワット)もあれば、股関節主働になりやすい種目(例:デッドリフト)もあることを頭に入れておきましょう。

また、上記の図のモデルは股関節~頭までの体幹部を1つの固まった物体として考えていますが、体幹部を真っすぐに保つ筋力が無い or 股関節が固いせいで腰が丸まってしまう選手も多くみられるので実際はもう少し複雑になってきます⚠

 

まとめ

今回の記事では支点、力点、作用点という義務教育で習った用語から発展させて、トレーニングに必要な知識である『トルク』『モーメントアーム』について解説していきました。

冒頭でも述べた通り、物理学は正しくトレーニングを理解・実践するうえで非常に重要になってきます。

アスリートのみなさんは是非第1回第2回の記事も復習しつつ知識として身に付けていってください!

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)

 

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