【第121回】エキセン、コンセンの違いについてホンマに理解してる?アスリートに必須な筋肉の知識~基礎から応用まで

エキセントリック収縮

コンセントリック収縮

アイソメトリック収縮

これらの筋収縮の違いを聞かれたとき、アスリートの皆さんは答えられますか?

ざっくり言うと、収縮しているのに抵抗に負けて伸ばされていくのがエキセントリック収縮で、抵抗に勝ちながら筋肉が縮んでいくのがコンセントリック収縮ですよね。

そしてその間が(筋出力と抵抗が釣り合って、筋の長さが変わらないのが)アイソメトリック収縮です。

アームカールなどのトレーニングで考えれば分かりやすいですよね。

重りを上げるのがコンセントリック収縮、重りを下すのがエキセントリック収縮です。

この時ポイントになるのは『上げるときも降ろすときも使っている筋肉は変わらない』ということ。

あくまでも重りに対して力が勝っているか負けているかで重りの上昇下降が決まるので、肘が伸展しているからといって、肘伸展の主働筋の上腕三頭筋はあまり動員されないです。

さて、基礎の基礎の部分の話はとりあえずこんなもので。

次はエキセントリック収縮の運動は筋肉や身体にどんな作用を及ぼし、コンセントリック収縮の運動はどうなのか?といったところに焦点を当てていきます。

エキセントリック収縮、コンセントリック収縮に対する身体の適応

今日は話す内容はこんな感じです。

・安静時筋線維束長(≒羽状角)に及ぼす影響は?

・筋肥大への効果は?

・循環器系(心肺機能)への負荷は?

ぶっちゃけて言うと、トレーニング初心者・趣味のトレーニーはここまで気にしなくて良いです。

今日の内容を特に伝えたいのは

🔻肉離れで悩んでいる選手

🔻トレーニング経験が豊富でさらなる筋肥大を狙いたい人

🔻持久的な要素が必要なアスリート

そもそも多くのトレーニングにはコンセントリックもエキセントリックも含まれてますしね。

今回はエキセントリックのみを実施した場合、コンセントリックのみを実施した場合の適応(身体の変化)の違いについて紹介します。

エキセントリックのみの実施というと、最もポピュラーなトレーニングの1つがこのノルディックハムですよね⇓

筋線維束長

筋線維束長というと、なんとなく「筋の長さ」「柔軟性」って想像するかもしれませんが、筋線維束長と柔軟性は別物だと思ってください。

実はこの筋線維束長が長ければ長いほど、肉離れをしづらいというデータがあります[5]。

また、エキセントリック収縮のみのトレーニングを実施した場合筋線維束長は増加し、逆にコンセントリック収縮のみのトレーニングを実施すると筋線維束長は低下したことが示されているんですよね[6]。おもしろ。

上の動画で示したノルディックハムには肉離れの予防効果があることが広く知られています[1]。

エキセントリック収縮しか含まないということが大きなメリットなのかもしれませんね。

筋肥大

筋肥大には

①機械的張力

②筋ダメージ

③代謝ストレス

が必要だと言われてます[4]。

結論から言うと筋肥大への効果自体はエキセントリックトレーニングのほうが大きい傾向にあります[2,6]。

しかし個人的には「エキセントリックとコンセントリックでは筋肥大に貢献するメカニズムが違う」と思っているんですよね。

エキセントリックのトレーニングでは②筋ダメージが大きくなるし、扱える負荷は大きくなるので①機械的張力も大きくなります。

コンセントリックのトレーニングでは後述しますが、エネルギーの要求が大きくなるんです。

そのため③代謝ストレスが大きくなり、エキセントリックトレーニングとは違った刺激で筋肥大を促します。

これがホンマに面白いところで、アスリートではこの違いを活用した色々なアプローチがあるのですが文字数がえぐいことになるのでいったんここまで(泣)

循環器系への負荷(エネルギー要求)

これも面白い研究で、機材を使ってエキセントリックオンリーのスクワットを実施した場合と、コンセントリックオンリーのスクワットを実施した場合の心拍数を比較した。というものです[7]。

負荷は両方65%1RMで10回×3セット。

その結果、若年層の被験者でコンセントリックのスクワットのほうがエキセントリックのものよりも20近く心拍数が高かったことが報告されました。(116回/分 vs 98回/分)

これがどういう風に活用できるかと言うと、坂道ダッシュ。

特に心肺機能を高める目的でラントレーニングを行う場合、選択肢は上り坂一択。

上りをダッシュ、下りを歩き(orジョグ)なんて間欠的持久力を高めるにはめちゃくちゃ良いトレーニングです。

持久系アスリート、球技系アスリートのみなさんはこの週末は坂ダッシュですね。

まとめ

🔻筋線維束長増加(肉離れ予防)にはエキセントレーニングがおススメ

🔻筋肥大への効果自体はエキセントリックトレーニングが大きいけど、そのメカニズムがエキセン、コンセンで異なる

🔻心肺機能に負荷をかけるなら上り坂一択

エキセントリックとコンセントリックはセットで実施することが多いと思いますが、それぞれ単品で実施するとこんなに違いがあるんです。

基礎的な知識を頭に入れるだけで、目的に合わせたトレーニングのバリエーションが増えますよね。

僕は個人的に、トレーニングのバリエーションを生むのは、エクササイズを何個知っているかではなく、基礎知識がどれだけ深いかだと思っています。(良いこと言った。リツイートで使ってください。)

この期間、みんなでしっかりと知識を深めていきましょう!

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)


最近は皆さんnoteの記事の販売で収益を上げている方も多く、ちょっと僕もブログ記事の更新を半分にして、そっちの更新半分でいこうかなーと考えていました。

けどもともとこのブログを始めたきっかけとして、アスリートのみんなに正しい知識をつけてもらう(そしてトンデモ理論に騙されないようなリテラシーをつけてもらう)ことだったので、記事はこれからも基本的に無料公開でいこうかなと思ってます!

(おかげ様でセミナーやオンラインコーチングで収益は上げられているし、他の仕事での収入も十分あるので!)

繰り返しになりますが、目的としてはきちんとした情報を選手に届けること。スポーツ界全体の情報リテラシー向上にちょこっと貢献すること。

なのでチームメイト、知り合いにこのブログを紹介なんてしてくれたら嬉しいです!


参考文献

  1. Al Attar, WSA, Soomro, N, Sinclair, PJ, Pappas, E, and Sanders, RH. Effect of Injury Prevention Programs that Include the Nordic Hamstring Exercise on Hamstring Injury Rates in Soccer Players: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sport Med 47: 907–916, 2017.
  2. Farthing, JP and Chilibeck, PD. The effects of eccentric and concentric training at different velocities on muscle hypertrophy. Eur J Appl Physiol 89: 578–586, 2003.
  3. Minetti, AE, Moia, C, Roi, GS, Susta, D, and Ferretti, G. Energy cost of walking and running at extreme uphill and downhill slopes. J Appl Physiol 93: 1039–1046, 2002.
  4. Schoenfeld, BJ. The mechanisms of muscle hypertrophy and their application to resistance training. J Strength Cond Res 24: 2857–2872, 2010.
  5. Timmins, RG, Bourne, MN, Shield, AJ, Williams, MD, Lorenzen, C, and Opar, DA. Short biceps femoris fascicles and eccentric knee flexor weakness increase the risk of hamstring injury in elite football (soccer): A prospective cohort study. Br J Sports Med 50: 1524–1535, 2016.
  6. Timmins, RG, Ruddy, JD, Presland, J, Maniar, N, Shield, AJ, Williams, MD, et al. Architectural Changes of the Biceps Femoris Long Head after Concentric or Eccentric Training. Med Sci Sports Exerc 48: 499–508, 2016.
  7. Vallejo, AF, Schroeder, ET, Zheng, L, Jensky, NE, and Sattler, FR. Cardiopulmonary responses to eccentric and concentric resistance exercise in older adults. Age Ageing 35: 291–297, 2006.

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