【第143回】クイックリフトの利点をVBT視点から考える

Velocity Based Training

VBTと言われ、ウエイトトレーニング中の速度をモニタリングしながら行うトレーニングであり、近年注目されています。

近年注目されていますなんて言ってしまいましたが、時はもう2021年。現場によっては「もう根付いちゃって普通のことだよ」なんてところもあるかもしれません。

PushやGymAwareなどのデバイスを用いてバーベルの挙上速度を測定するこの手法は従来の方法と異なり、決められたレップ数を必ず完遂する必要はなく、一定の速度低下(20%低下や10%の低下)が発生した場合にそのセットを切り上げるという手法をとることがあります。

以前の記事でも紹介していますが、この方法のメリットは速筋の割合を維持できる(遅筋化が起きづらい)ことによる筋力やパワーの向上の効率化です。

挙上不可になるまで追い込むことによって、例え高重量を扱っていても筋肉の遅筋化が起きることが明らかになっています(Campos et al., 2002)。速度が低下した時点でそのセットを終了することで、それを防止出来るんですね。

また挙上速度を最大化しようと努力をすることにより、同じ重量であっても発揮するパワーは大きくなります。

デバイスによって毎レップ挙上速度が即時フィードバックされることによって、この挙上速度の最大化をサポートすることが出来ます。

この
・潰れるor挙上速度が落ちるほど追い込むことの防止
・挙上スピードの最大化
それによるパワー向上の効率化がVBTの利点でしょう。

クイックリフトの利点

と、ここまでは良くあるVBTの紹介記事なのですが、ここからが本題です。

結論からいうと『クイックリフトって優秀じゃね?』

クリーンやスナッチなどのクイックリフトは、習得に時間がかかるものの、パワー向上には大きく貢献する種目でもあります。

一方でテクニックの習得に時間がかかるため、バーベルを担いだジャンプスクワットで代用する場合もあるでしょうし、指導者がいない環境であればそうしたほうがベターでしょう。

しかしながら、やはりクイックリフトだからこそ出来ることもあり、それが『ナチュラルにVBTが出来る』ということ。

どういうことかと言うと、特にクリーンにおいてはバーをどこまで引き上げられるかによってキャッチが出来るかどうか、もしくはキャッチ姿勢の高さが決まります。

そしてバーがどこまで上がるかは、下肢の伸展が終わった時点でのバーの速度に大きく影響を受けます。

 

つまりクリーンにおいてキャッチが成功したか、もしくはしっかりと高い位置でキャッチが出来たかによって、バーベルの速度がしっかりと出ていたかをある程度判断することが出来ると考えられます。

(もちろんバーが前方に変位してしまったことによるキャッチの失敗など、テクニック的なエラーもあるとは思いますが)

「クリーンをキャッチまでするかどうか?」という議論がされることもありますが、僕個人としてはこのVBT的視点から考えると、怪我などの問題が無い場合は『キャッチまでしたほうが良いのでは派』です。

まとめ

VBTの利点は
・潰れるor挙上速度が落ちるほど追い込むことの防止
・挙上スピードの最大化
であり、それによってパワー向上を最大化出来る。

そしてその利点はクイックリフトでキャッチが出来たかどうかを判断することによって、自然とVBT的なモニタリングになるのでは、という話でした。

もちろんクイックリフトのキャッチのような判断基準がない種目も多数あるので、VBTのデバイスを扱う利点がなくなるわけではありませんし、クイックリフト中にVBTを用いるメリットもあるでしょう。

ただ、こういった視点から従来のトレーニングを見返すの面白いのではないでしょうか。


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参考文献

  1. Campos, GER, Luecke, TJ, Wendeln, HK, Toma, K, Hagerman, FC, Murray, TF, et al. Muscular adaptations in response to three different resistance-training regimens: Specificity of repetition maximum training zones. Eur J Appl Physiol 88: 50–60, 2002.

 

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