【第96回】トレーニングの5原則を無視したらどんだけ意味がないかを考えてみた

「トレーニングの5原則」

これはトレーニング指導者であれば必ず知っておかなければいけない内容です。

というより、最近では保健体育の教科書にも載っているくらいなので(現代高等保健体育.大修館)、文字通り義務教育レベルの知識ですらあります。

もちろん、選手のみなさんも知っておくべき内容ですよね。

では、まずはここから読み進めずに、5原則すべてを挙げてみてください。

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できましたか?

・全面性の原則
・漸進性の原則
・反復性の原則
・個別性の原則
・意識性の原則

ですよね。

これらの原則を1つ1つ説明しても良いですが、そんなことを解説した本やウェブサイトなんていくらでもあるので、今回は『もしこれらの原則を無視したら?』といった視点で考えていきます。

全面性を無視したトレーニング

全面性を無視したトレーニングでよくありがちなのが

・上半身だけやたら鍛えるパターン

・目に見える部分(腹筋、胸筋、もも前)だけやたら鍛えるパターン

これが趣味でのトレーニングだとなんの文句もありませんが、アスリートの場合はちょっと。。

よく下半身のトレーニングをスキップしてしまう理由に「スクワットとかをやると、次の日の練習が辛いので。。」といった意見を聞きます。

まあ気持ちは分かります。めっちゃ分かります。

でも言ってることは「サッカーは上手になりたいけど、サッカーすると脚が重くなるのでサッカーの練習はしたくない」って言ってるのに近いです。

一度立ち止まって「明日の辛さの回避」と「長い目で見た時の自分の成長」を天秤にかけると、どっちが大事でしょうか。。?

もう分かりますよね。

下半身のトレーニングが辛いのは分かりますが、それでベンチプレスやアームカールばかりに逃げるのは、「やってる感のある自己満足」です。

ちなみにただベンチの記録を上げたい場合でも、下半身の高ボリュームトレーニングをしたほうがベンチの1RMが伸びるっていうデータもありますからね。(こちら

漸進性を無視したトレーニング

これはもうトレーニングではなく、ただの「習慣的なエクササイズ」ですよね。

先日の記事でも述べた通り、自体重体幹エクササイズをただ毎日してるだけなんて、成長は得られません。

毎日体重が重くなっていく仔牛を毎日担いで歩くという勇者ミロがやってた方法のほうが、よっぽどちゃんとしたトレーニングですよね。

レベルアップしたら次の負荷に、次の種目にチャレンジしていく。

アスリートとしてはある意味当たり前のマインドですよね。

反復性を無視したトレーニング

「あ~雨だし、久々にウエイトでもやっとくか」

日本全国で良く聞くセリフですが、このセリフが聞こえるチームは95%フィジカルが弱いです。

『雨だから』『今日は練習がそんなにきつくなかったから』『気が向いたから』『試合で負けて悔しかったから』ウエイトをやる。

そんな考えだと絶対に強くなりません。

そんもん「やってる感のある時間つぶし」に過ぎませんよね。

ちゃんと普段の計画に、定期的なトレーニングを取り入れましょう。

個別性を無視したトレーニング

漸進性のところと被りますが、自体重エクササイズをいつまでも同じ回数、同じ秒数やってても強くなりません。(アクティベーション、アップという意味なら良いかもしれませんが)

一方で、急にレベルの高すぎることをしても強くなりません。

最近はインスタやツイッターなどのSNSの発達により、トップアスリートのトレーニング動画を容易に見ることができるようになりました。

その影響もあってか、「いや、自分そんなレベルのことする前にもっとやるべきことあるやろ」的な状況を見聞きします。

今までの積み重ねがあったうえで「今足りないピースはこれだ!」とトップアスリートが取り組んでいえるものを、基礎ができてない学生アスリートが真似するなんて、九九ができてない小学生がフィボナッチ数列について研究するようなものです(フィボナッチ数列が何なのかはよく知りません)。

まずは基本をしっかりと。

その中で次の段階のエクササイズに少しずつ進んだり、基本のエクササイズの強度を高めたりと、個人にあったレベルのものを地味に続けていくことが成長への近道です。

意識性を無視したトレーニング

「その競技がうまくなりたければ、俺を信じてだまってやれ」なんて山奥で師匠に言われて1日1000本まき割りなんてできますか?僕は絶対見てないとサボります。(現代っ子なので)

これ↑はある意味意識性を無視したトレーニングですよね。

トレーニングというよりむしろ「修行」です。

・そのトレーニングの注意点は何か

・そのトレーニングをするとどういったメリットがあるのか

これらを知らないとトレーニングの効果は最大化されない、、というか、これが分かってない状態でトレーニングして楽しいですか?

逆にこれらをきちんと把握してたら、未来の自分を想像してワクワクしながらトレーニングに取り組めませんか?

心理学、特に動機づけの観点からしても「そのトレーニングをするとどういったメリットがあるのか」(これを結果予期または結果期待と言います)を把握してないと、人は高いモチベーションで取り組むことができません。

適切にトレーニングに取り組むためにも、熱意をもってトレーニングに取り組むためにも、トレーニングの注意点、目的を深く理解しておくことって大事なんですよね。

まとめ

トレーニングの5原則、、案外守れていない部分があった人もいたのではないでしょうか?

少しの意識で変わることも多いです。

是非次のトレーニングに活かしてみてください!

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)


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参考文献

現代高等保健体育 改訂版 [50大修館/保体304] 文部科学省検定済教科書 テキスト – 2017

Albert Bandura
Self-efficacy: Toward a Unifying Theory of Behavioral Change. Psychological Review
1977, Vol. 84, No. 2, 191-215

 

 

 

 

 

 

 

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