【第79回】専門分野で線引きをする?専門外のことも担当する?

本日はがっつり指導者向けの記事です。

選手が読んでも指導者選びのヒントになるかもしれません。

チームスタッフの種類

スポーツチームで働くスタッフの職業はいろいろとあります。

監督、コーチ、トレーニング指導者、チームドクター、メディカルスタッフ、栄養士、メンタルトレーニング指導士、アナリスト、マネージャー、、

あえて「トレーナー」と明記しなかったのは、トレーニング指導者とメディカルスタッフ(理学療法士、鍼灸按摩マッサージ師、アスレティックトレーナー)は全く別の職業だからです。なんならメディカルスタッフの中のかっこ書き職業も全く別物。共通点としては人の身体についての専門家ってことくらいです。

本日は「コーチ」「トレーニング指導者」「メディカルスタッフ」の役割分担について。

専門分野の担当制

僕は基本的には各専門家が自分担当領域に対する深い理解のもと、各担当領域をカバーするといったことが理想、というか前提だと思っています。

トレーニングについてきちんと学んでいないメディカルスタッフが変なトレーニングを教えたり、トレーニング指導者がなんとなくでリハビリ(物理療法、運動療法、徒手療法)を行うことなんかは絶対NGだと思っています。もちろんきちんと両分野を学んだうえでトレーニング指導者兼メディカルスタッフとしてチームに関わるのは全然ありだと思いますが。(僕自身チームによってはそのような形で関わっていますし)

専門分野を超えた(?)アプローチ

一方で、現実には専門分野を超えたアプローチが必要になってくることも多々あります。

これは僕自身が最近経験したことでもあるのですが、シュートの調子が悪いというバスケ選手の話。

上の図で考えればシュートの上達は「技術向上」ですので、技術練習が仕事であるコーチが担当するべきことに思えます。

しかしその選手を評価した結果、シュートの調子が悪い原因は腕の上がりづらさ、腕の上がりづらさの原因は小胸筋のタイトネスによる肩甲骨の上方回旋制限でした。
ざっくり言うと肩甲骨まわりの筋肉が固いせいでなめらかな動きができなかったって感じです。

この場合、「メディカルスタッフ」が「徒手療法」を介して「技術向上」に貢献したということになります。

(このときはマッサージではなくセルフマッサージの指導を行ったので、厳密には徒手療法ではないかもしれませんが。。僕はメディカルスタッフとしてはアスレティックトレーナーであって按摩マッサージ師ではないので)

実際には他にもこのような例はたくさんあって、トレーニング指導者が正しいスクワットのフォーム(トレーニング)を指導することで腰痛が改善(怪我の改善)したり、球技スポーツのコーチが人数が少なくテンポの速い対人練習(技術練習)をすることで持久力が向上(体力向上)したり。

このように「専門分野のアプローチ」(図の真ん中)をとることで「専門外(?)の部分」(図の右側)の向上に貢献することは多々あります。

まとめ

ただ、このような斜めの矢印のアプローチは、専門職間でのコミュニケーションがとれていなかったら大変なことになることもあります。

例えばコーチが持久力を向上させようとテンポが速く、休みの短い練習を長く行い、トレーニング指導者も持久力の向上のために高強度インターバルトレーニングを行い、そこで連携が取れておらずオーバートレーニングになってしまったり。

メディカルスタッフやドクターが評価した結果、重量を担いだ運動は制限しようとなったのに、トレーニング指導者が独断でトレーニングを行い悪化させてしまったり。

選手にとって一番のサポートをするには各スタッフが
専門分野への深い理解を持ち
他の専門部野にリスペクトを持ちながら
コミュニケーションをとりながら専門分野の垣根を変えていく
ことが重要なのではないでしょうか。

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)


いろいろと資料作りなどに追われて久々の更新になってしまいました。。

先日はたまたま用事があり、以前関わっていたチームの練習会場にお邪魔しました。
「めっちゃ上手くなってるやん」「相変わらずトレーニングがんばってるんやろうな~」とか色々と感じられて新鮮でした。

今は指導している高校チームも実業団チームも春シーズンが終わって一区切り。
トレーニング指導者としては忙しい時期になってきますが秋に向けてがんばっていきます!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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