【第36回】トレーニングの知識、人材の地域格差

専門性【☆☆★】~【★★★】

明けましておめでとうございます。

正月のバスケ天皇杯も終わり、地元山口県下関市に帰ってきてます。

昨日、本日と母校・豊浦高校の生徒を対象にトレーニングについての講義、指導を行ってきました。

恩師の先生のお声がけもあり、多くの生徒(バスケ、バレー、レスリング、サッカー、陸上)が参加してくれました。

お世話になった母校への恩返しと同時に、正しい知識の普及、トレーナーという職業の認知につながればと思っています。

そもそも地方では、トレーナーという職業についての認知度がとても低いんです。

 

トレーナーの人数

前回記事でも述べたように、トレーナーという職業は様々な専門分野に分けることができます。

地方であっても鍼灸師、マッサージ師、柔道整復師の方は多くいます。治療院、接骨院はどこにでもありますからね。
スポーツ選手に限らず、様々な人に対して需要のある職業ですし。

一方、特に運動指導に特化した職業であるATやS&C(もしくはそれに類似するトレーニング指導者)に関連する資格を有した方は、地方ではグッと少なくなります。

印象だけで語ってもしょうがないので、ここらで驚きのデータを。

日本体育協会 公認スポーツ指導者 登録状況

このページにて平成28年度時点での各都道府県の日本体育協会公認アスレティックトレーナー(日体協AT)の人数が確認できます。

それによると

全国→3027人

東京都→589人(最多)
神奈川県→353人
愛知県→146人
大阪府→243人
福岡県→92人

山口県→10人
福島県→7人(最少)

東京の登録者数は山口の約60倍
こんなに差が。びっくりですよね。

ちなみに、僕みたいに東京で活動してるけど登録は山口県にしてる
って人もいるかもしれないので、実際、地方はもっと少ないかも。

ちなみにトレーニング関連の資格については、

NSCA-CSCS→全国で1500人超(こちら
NSCA-CPT→全国で3000人超(こちら
JATI-ATI→全国で2000人超(こちら

こんな感じです。都道府県別の比率がATとそんなに変わらないとしたら山口県には数人~十数人でしょうか。

確かに地元にいたころ、「あすれちっくとれーなー」とか「すとれんぐすあんどこんでぃしょにんぐこーち」なんて聞いたことないですもん。

 

需要と供給とポスト

需要

中学・高校時代は部活動がありますし、他の年齢に比べて「勝つためのスポーツ(競技スポーツ)」をしている人は多いのではないでしょうか。

実際、中高生の5~7割が運動部に所属しているというデータがあります(こちら)。

そして日体協ATの資格保持者の多くが、高校生にリハビリやトレーニングを指導しています。

こちらより

部活動では怪我はつきものですし、本気で勝とうと思うと医科学的サポートやトレーニングは必要ですもんね。

やっぱり高校のスポーツ現場ではATやS&Cは必要とされてるんです。需要はあるんです。

ここで山口県と東京都で15~19歳の人口を比較すると、

山口県の15~19歳の人口は6.3万人(こちら)。

東京都の15~19歳の人口は54.2万人(こちら)。

東京の15~19歳の人口は山口の約10倍

単純計算で、東京では山口の10倍の需要があると解釈して次にいきましょう。

供給

前述したように、東京都の日体協AT登録者数は山口の60倍です。

おそらく、トレーニング指導者(CSCS,CPT,JATI-ATI等)も断然都心部のほうが人数は多いでしょう。

東京都は山口県に比べて運動指導系のトレーナー(AT、S&C)の需要が約10倍で供給が約60倍。

言い換えれば山口等の地方では都心部に比べて供給が全然足りてないんです。

(東京で十分に足りているかどうかは別の話ですが)

ポスト

学校部活動においてもATやS&Cは必要なんです。

ただ、地方では供給(有資格者の人数)が少ないこともあり、運動指導系のトレーナーが都心部と比べてあまり認知されていません。

認知もされていないので、当然、職業として確立されづらいです。
(ATやS&Cを雇用しようという発想にならない)

運動部活動の指導で報酬をもらっていても、それだけだと生活は難しいでしょう。
平日は昼過ぎからしか仕事がないわけですから。
ATやS&Cのポストが少ないんです。

(都心部でのポストの例)
普段はプロチームで指導し、週1で高校生も指導
トレーナー派遣会社
専門学校講師をしながらトレーナー活動
パーソナルジムを運営しながら現場(部活動)でも指導

これからやんなきゃいけないこと

なので、まずは認知度を広げることが大事なんじゃないでしょうか。ATやS&C等の運動指導者の。

中学・高校の先生方はもちろん、中高生、保護者に知ってもらうこと。

それだけでなく、スポーツから離れた一般の方々に対しても、僕らAT、S&Cやからこそできることがあると感じています。

いやらしい意味でなく、トレーナーとしてお金を稼げる環境作り
言い換えれば、トレーナーとして生きていける環境づくりを
山口県出身のAT,S&Cとして、やってかんにゃいけんと思ってます。若造のたわ言にならんように。

ほんじゃ、ばあちゃんちでフグ鍋食べてきます。

 

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