【第5回】試合後半に足が止まるからといって単純に走り込めばいいわけじゃないんですよ
専門性【☆★★】
以前、球技スポーツチームで指導をしている友達に聞かれました。
「試合後半に選手の足が止まっちゃうんだけど、どんなラントレすればいいかな?」
「そんなん知らんし」
これが僕の答えです。笑
丁寧に言えば
「試合後半にパフォーマンスが落ちる原因は複数考えられるから何をすればいいかは断言できません」
トレーニングのこと、スポーツのことを学べば学ぶほど、いろんなことを断言できなくなります。
本とか出したり、ビジネスをするんだったら、「このトレーニングをやれば間違いなくパフォーマンスアップ!」とか断言しちゃったほうがいいのかもしれませんね(笑)
さて、話は反れましたが、
試合の持久力=有酸素的持久力
ではありません!
まず、競技の文化的背景からか、
サッカー、バスケの試合で後半に足が止まったら
「走り込みが足らん!帰ったらラントレじゃ!」
ってよくなります。
ラグビーの試合で後半に足が止まったら
「身体が弱いからだ!筋トレもっとやらな!」
ってなることもあるみたいです。
たぶんこれはどっちともが正解で、なんならこれ以外にも原因はあると思います。
今のところ僕は、ゲーム体力(試合を通してどれだけ運動量を維持できるか)の因子をこのように分類しています。
赤い部分がトレーナー、S&Cがアプローチするべき場所と考えています。
(競技・立場によってはコンタクトの技術を教えることもあるかもしれません)
球技スポーツをやっていた人ならなんとなくわかりますよね?
①単純に持久力(間欠的持久力)がないパターン
一定のスピードで直線を走る持久力(12分間走のタイム)よりも、切り返しを伴う持久力(20mシャトルラン)や休息とダッシュを繰り返す間欠的持久力(Yo-Yoテスト)が大事だっていうのは一般にも浸透してきてますよね?
図示しているのは間欠的持久力(Yo-Yoテスト等で評価)ですが、これはテストの特性からも複合的な能力(最大酸素摂取量、ターン効率、直線スピード、無酸素持久力等)であると考えられます。
なのでYo-Yoテストの結果が優れている選手の中でも、単純に持久力があって(最大酸素摂取量が高くて)テスト結果が優れている選手と、スピードがあってテスト結果が優れている選手が混在している印象があります。
②コンタクト持久力がないパターン
これは先ほどのラグビーの例で言っていたことです。
球技スポーツ(特に年代が上に上がるほど)は、激しいコンタクトに耐える必要があります。
そのときにコンタクトの力が弱かったらすぐに疲労が溜まっちゃいます。
そのために必要なのは徐脂肪体重(脂肪を除いた体重)と、コンタクトの技術です。
③試合効率
いくら間欠的持久力、コンタクト持久力があっても、相手のパス回しにふられて動かされ続けたらすぐばてちゃいますよね。
④選手層
バスケやハンドボール、交代自由のスポーツではやっぱり選手層が厚いほうが後半まで動きは維持できます。
またサッカーやラグビーのようなスポーツでも、1週間に複数試合があるような連戦の場合には選手層が厚いほうが有利でしょう。
これらのことを考えたらもう分かりますよね?
20mシャトルランはチーム平均で160オーバー
平均身長180cm、平均体重65㎏
とかで試合後半に足が止まってたら、ラントレ以外にすることあると思います。
もちろん、逆も然り。
でもトレーナーが関与できるのは図の赤色の要素だけです。
ラグビー等、コリジョンスポーツのタックルや、そもそもの競技の技術は高めることはできません。
ゲーム体力を高めるため、そのためのターゲットの特定には、トレーナーとコーチの連携が必要不可欠です!
“【第5回】試合後半に足が止まるからといって単純に走り込めばいいわけじゃないんですよ” に対して3件のコメントがあります。