【第2回】そのトレーニング、何のためにやってます?
専門性【☆★★】
「そのトレーニング何のためにやるんですか?」
選手からのこの問いにトレーナー(AT、S&C)が答えられないのはNGです。
逆に
「何のためにこのトレーニングをやるんだろう」
選手がこのように考えることも必要だと思います。
思考を伴わない繰り返しは、努力ではなく、ただの忍耐です。
なので今日の記事はとある論文 (E.M.Cressey et al,2007)を引用してその必要性を書いていこうかなーと思います。
※このブログはあくまで僕の主観を述べたものなので、書いてることが全部正しいとは限りません、情報の取捨選択も読者のみなさんでお願いします。(もちろん適当なことを言っているつもりもありません)
まずみなさんに問いたいのはこれ
バランスディスク
これ、トレーニングで使いますか??
僕の解答としては、
時と場合によります。笑
AT(アスレティックトレーナー)としてリハビリテーションのメニューに組み込むことはありますが、S&C(ストレングス&コンディショニングコーチ)としてトレーニングを処方するときはほぼ使いません。
まず前者。リハビリ。これはもう一般的ですよね。
捻挫等でおかしくなっちゃた足首のバランストレーニングにいいですよーってことはずいぶん前から言われています。(R.Ruiz and M.T.Richardson,2005)
一方、健康な(足首等に問題を抱えていない)アスリートがトレーニングでそれをする必要があるんでしょうか?
バランス→なんか競技にとって大事っぽい→ディスク上でトレーニング!
って考えもまあありっちゃありな感じな気がしますが、気がします程度な人に是非読んでもらいたいのがこの論文。
「The effect of ten weeks of lower-body unstable surface training on markers of athletic performance」(2007)E.M.Cressey
内容をざっくりと説明すると、2グループに異なるトレーニングを10週間してもらったらそれぞれこんな成果が得られましたよという内容。
その2グループというのが
①普通のトレーニング群(スクワット、デッドリフト、ランジ等)
②バランスディスク群(種目は①と同じで、ランジ系の種目をバランスディスク上で行う)
成果の指標としては、ジャンプ、スプリント、アジリティ等
そしてトレーニングの結果大きな成果を示したのは、①普通のトレーニングでした。
その理由として筆者は以下のように考察しています。(僕なりに簡単な言葉に置き換えています)
・バランスディスク上でバランスをとるときに、余計な筋肉の緊張が生まれてしまい、その癖付けがパフォーマンスに悪影響を及ぼしたのでは(拮抗筋の共縮による主働筋の出力の非効率化)
・スプリントや、反動を使ったジャンプ等は地面の跳ね返りの力を使うが、ディスクのトレーニングではそれを使えないため、変な癖がついたのでは(ディスクでのトレーニングの動態がSSCの償却局面の延長を引き起こし、パワー発揮にマイナスに働いた)
てな具合です。
まあそもそも筋力トレーニングは筋力を鍛えたいのに、ディスク上だと重い重さを扱えないですよね。(今回の論文の記述の仕方では、1RMからの算出というのがどのように行われているのか分かりませんでした..英語力不足かもしれません笑)
いやいやトレーニングは筋力鍛えればいいわけじゃないでしょ!って声も(もしかしたら)あるのかもしれませんが、そもそもの筋力の重要性とかもまた分かりやすく書いていこうと思います。
最初にも書きましたが、この記事を鵜呑みにして、じゃあバランスディスクの上でのスクワットとかランジは意味ないんだ!って決めつけないでくださいね。これは1つの論文を引用した、僕の意見なので。
例えば、今回の被験者は捻挫癖がない人たちです。
捻挫癖がある人だと、逆に捻挫由来の不安定性の解決になる可能性もなくはないです。
また、スプリント、ジャンプ等を測定していますが、そもそもの筋力を測定していません。
例えばアルペンスキーのように、重力によって推進力を得ながら、その重力に対してバランスをとる必要のある競技(コンセントリックのパワーというより、エキセントリックでの筋力発揮が必要な競技)において、技術的要素を取り入れたトレーニングというとらえ方でやられていたら、この論文ではその効果まで否定できません。
「何のためにこのトレーニングをやるのか」
案外、自分自身でちゃんと問いかけられていないアスリートも多いかと思います。トップレベルであっても。
でも、考えるための材料(知識・情報)がないと考えることはできませんよね。
なのでこのブログで、「情報とは」「どこで正しい情報が得られるのか」などについても書いていくつもりです。
それでは!
引用
E.M.Cressey et al.The effect of ten weeks of lower-body unstable surface training on markers of athletic performance.Journal of Strength and Conditioning Research,21(2),2007
R.Ruiz and M.T.Richardson.Functional Balance Training Using a Domed Device.Strength and Conditioning Journal,27(1),2005
次回も楽しみにしています!
よろしくお願いします!
ありがとうございます!
引き続きよろしくお願いしますm(__)m
ささべ