【第28回】睡眠の重要性②身体づくり・ダイエットの観点から
こんなのよく見ますよね。
運動、栄養、休養、どれか一つでも欠けたらアスリートのパフォーマンスは向上しない的な図です。
特に身体作り(筋量の増加)なんて、この3つ、全部大事ですよね。
筋トレ(運動)したらタンパク質取らなきゃとか(栄養)、超回復のために適度な休みをとらなきゃとか(休養)、そんなの最近は小学生でも知ってます。
でも実は、この3つの関係性っていうのはアスリートに限らず一般の人のダイエットとかにもすごく関わるんです。
食欲をコントロールするホルモン
食欲をコントロールするホルモンとして、
・レプチン(食欲抑制ホルモン)
・グレリン(食欲増進ホルモン)
というものがあります。
一般の人のダイエット(体重減少)なんて結局はいかに
消費カロリー>摂取カロリー
にするか。
一般の人でカロリー計算をしながら食事をしてる人なんてそういないので、結局はどのくらい食欲があるかで摂取カロリーが決まることも多いと思います。
そう考えると、上記のホルモンの分泌量っていうのは大事ですよね。
食欲ホルモンの分泌と睡眠時間との関係
じゃあそのレプチン、グレリンの分泌量が何によって変わるのかというと、その1つが睡眠です。
Spiegel et al (2004)の研究によれば、10時間の睡眠と4時間の睡眠を成人男性に2日間やらせてみると
4時間睡眠では
・レプチン(食欲抑制ホルモン)の低下
18%↓
・グレリン(食欲増進ホルモン)の増加
28%↑
がみられたとのことです。
単純な推測になりますが
睡眠不足⇒食欲増加⇒摂取カロリー過多⇒太る
ってことが考えられますよね。
ダイエット中のみなさん。
寝ましょう。
食欲ホルモンが体組成(筋・脂肪)に与える影響
もしかしたらここで、食が細くてなかなか増量できないアスリートの人は、「じゃあ睡眠を短くすればいっぱい食べられて増量できるんだ!」って思ったかもしれませんが、そういうことにはならないんです。
実はグレリン(食欲増進ホルモン)には
・脂肪を減らしにくくして
・筋肉を減らしやすくする
作用もあるんです。
実際に食事制限(食欲関係なしに、決められた量を摂取)で減量を行った研究(Nedeltcheva et al, 2010)では、
8.5時間睡眠で食事制限
⇓
トータル 2.9kg↓↓
徐脂肪 1.5kg↓↓
脂肪 1.4kg↓↓
5.5時間睡眠で食事制限
⇓
トータル 3.0kg↓↓
徐脂肪 2.4kg↓↓↓
脂肪 0.6kg↓
という結果になっています。
徐脂肪というのは筋量と思ってください。
睡眠不足だと、減った体重のほとんどが筋肉… 意味ないですよね(笑)
これは減量の研究ですけど、身体作り(増量)でも睡眠はきっと重要ですよね。
体組成の研究ではないですけど、短期的な睡眠不足(いわゆるオール明け)では筋力が低下することを示唆する研究もあります(Bulbulian et al, 1996)。
あたりまえですけど、睡眠不足だとトレーニング時に出せる力が低下し、結局身体作りの効率は悪くなりますよね。
本当に増量したいならしっかり睡眠をとって、食欲が低下したその状態でも一生懸命食べてください。
まとめ
今回は睡眠が体組成(筋・脂肪)に与える影響の話でした。
アスリートの身体作りだろうが、一般の人のダイエットだろうが、筋肉は多い方がいいし、脂肪は少ないほうがいいですよね。
寝ましょう!
参考文献
A.V.Nedeltcheva et al
Insufficient sleep undermines dietary efforts to reduce adiposity.
Ann Intern Med. 2010, 153(7):435-441
K.Spiegel et al
Brief Communication: Sleep curtailment in healthy young men is assosiated with decreased leptin levels, elevated ghrelin levels, and increased hunger and appetite.
Annals of Internal Medicine, 2004, 141:846-850
R.Bulbulian et al
The effect of sleep deprivation and exercise load on isokinetic leg strength and endurance.
Eur J Appl Physiol, 1996, 73:273-277
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