【第180回】少ない指導頻度でトレーニングの成果を出すコツ
ある程度上のカテゴリのスポーツチームになると、S&CコーチとAT、医療資格者の方々が協力してアスリートをサポートします。
しかし少し都市部から離れた地域では「S&Cコーチ」という職業の人が少なく、特に学生カテゴリのチームではPTや治療家の方、ATの方が独学で勉強してトレーニングも指導しているというケースが多いようです。
(僕自身はこの事に関しては否定的なスタンスはとっていません。S&Cコーチのほうがよりトレーニング指導に特化した職種であることは間違いないのですが、きちんとトレーニングを学んだ上で、選手にとってプラスになる指導が出来ているなら問題ないと思う派です。)
一方でありがたいことに、数年前から東京から少し距離がある地域からもトレーニング指導のご依頼をうけることが多くなっています。
これはSNSやインターネットの発展により「トレーニングはS&Cコーチにお願いしてみよう」という発想になってくれてきているということでしょう。
しかしながらそういった場合、どうしても指導頻度は少なくなります。
そういったケースに適応して、少ない指導頻度でも成果を出せるようになってきました。
ここでいう具体的な成果の例として、
・スクワットの推定1RMの平均で30㎏以上向上
・立ち幅跳びの平均が20㎝以上向上
・コーチから「明らかに脚が動くようになってきた」「怪我が減ってきた」といった感想をもらう
・指導チームの練習試合相手の指導者がフィジカルの変化を感じて指導を依頼してきてくれる
といったことが実際にありました。もちろん僕の力だけではなく、選手の努力があっての成果です。
しかしながらこちら側の指導が稚拙だと、いくら選手が努力しようとしてもなかなか成果が出づらいのも事実です。
本当は秘密にしたい内容なのですが、『少ない頻度でのトレーニング指導のコツ』を皆さんにシェアしようと思います!
基本スタンス
これは必ず選手にも伝えているのですが
僕の仕事
↓
✓強くなる方法を教える
✓測定を通して強くなっているかを確認・フィードバックする
選手の仕事
↓
✓トレーニングにハードに丁寧に取り組む
✓日常生活にも気を使って強くなるための習慣を身に着ける
だと認識しています。
トレーニング指導者には
①プログラムデザイン
②コーチング
③マネジメント
の3つの能力が重要だと考えています。
僕ら指導者側はこの3つを出来る限り高いクオリティで提供する。
しかし選手の取り組みが甘く、成果が得られない場合、今こちらから出来ることはもうないよね。というスタンスです。
※ただし『放任』と『見守り』は別物です。
そして少ない頻度の指導の場合、①~③の3つに、より工夫が必要になります。
プログラムデザインの工夫
少ない指導頻度の場合、とにかくシンプルな種目を選択し、実施する種目数も少なくする必要があります。
具体的には
✓クリーンなどのオリンピックリフティングは実施せず、パワーの向上はプライオメトリクスの種目で達成する。
✓Day1、Day2で必要以上にバリエーションをつけない。例えばDay1はフロント、Day2はバックスクワットとかにせず、どちらもバックスクワットで統一する
などです。
ただし2-3年単位で指導してチームにトレーニングの文化が根付き、先輩から後輩への指導が信頼出来るレベルになってから少しバリエーションを増やすのはありかなと考えています。
コーチングの工夫
「コーチング」という大きなくくりの中に、
▼デモンストレーション
▼エラーに対するフィードバック
などの業務が挙げられます。
頻度が少ない場合、デモンストレーションの工夫として
・S&Cコーチのお手本をスマホで動画を取らせる
・プログラム内容が記載された紙にエクササイズのフォーム写真と注意点も載せる
等の工夫がおすすめです。
また、エラーに対するフィードバックに関しては
・エラーの内容、修正方法を個人だけでなく全体に共有する
・そもそもエラーが出づらい工夫をする
といったことを意識すると良いでしょう。
例えばエラーが生じたときに個人へのフィードバックだけで済ませると、それは個人のエラーの改善に留まります。
一方でセッション中であっても一度流れを止めて全体を集合させてエラーの内容・改善方法を共有すると、選手全体にその修正方法の知識が共有されますし、仲間のエラーに気づいてお互いにアドバイスをする文化作りの助けになります。
しかしエラーの例として皆の前で紹介されることを不快に思う選手もいるかもしれないのでそこは注意しましょう。
またエラーが出づらい工夫をするために、エラーが以下のどの段階で起こるかという理解が必要です。
①そもそもエクササイズの注意点を理解出来ていない
②エラーについては理解しているが自分にエラーが起きていることを分かっていない
③エラーが起きている自覚はあるが修正方法が分からない
①を起こさないために、エクササイズの説明を実施した後に選手自身に注意点を言葉でアウトプットさせる等の工夫が有効です。
また②に関してはお互いのフォームを動画撮影をして自己評価をしてみるというのも1つの方法。
③については、これこそ直接指導の意義になってくるので、僕らがここに集中出来るように①②をなるべく減らすことが大切です。
マネジメントの工夫
プログラムデザインをシンプルにすることでエクササイズのフォーム習得が容易になる一方で、どうしても選手の意識レベルによって「飽き」が出てきてしまいます。
その「飽き」を感じさせないために有効なのが「成長の実感です」
ターゲットとなるコアの体力要素の測定はどんな指導頻度、指導形態であってもマストだと思います。
指導頻度が少ない場合、「ただでさえ指導時間が限られるのに測定なんて実施出来ない!」と思われがちですが、そうなると選手が成長を実感できません。
しかし指導日以外でも出来る測定(体重測定や立ち幅跳び等)を選手やコーチにお願いすることは出来るでしょうし、最大筋力測定のタイミングがなくてもセッション内での使用重量の記録をフィードバックする形でも成長を確認出来るでしょう。
そういった客観的な成長を追うことで、方向性が間違っていた場合に早期に修正が可能になります。
まとめ
今回挙げた工夫は指導頻度が少ない時に役立つと思いますし、場合によってはフルタイムの指導にも役立つと思います。
ただ、今回挙げた例はある程度
✓プログラムデザイン
✓コーチング
✓マネジメント
の基礎が出来ている前提の話になります。
週2-3回の指導で成果が出せない場合、どう頑張っても週1や月1では成果は出せないですからね。
そもそものプログラムデザインの知識の習得やデモンストレーションを含むコーチング能力の研鑽は前提として必要になるのでそこはご理解ください!
執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)
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タイトルは『トレーニングの強度と量~重量、回数、セット数の決め方~』です。
昨年のセミナーで種目選択、種目の繋がり、実施の順番などについて解説しましたが、具体的な他の変数設定については解説出来ていませんでした。
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