【第118回】持久系トレーニングの分類~強度と乳酸の関係を理解する
かっこいい身体になりたい!
ダイエットをしたい!
であれば、食事管理と筋トレでこと足りるでしょう。
しかしながら持久力が必要なアスリートであれば、持久的なトレーニングを実施して心肺機能を強化する必要があるでしょう。
運動強度について理解する
持久的なトレーニングを実施する場合も筋力トレーニング同じで、強度×量の関係性を理解することが大事です。
スピードが上がれば上がるほど強度は高くなるので、強度が低いときに比べたら長時間の運動は困難になりますよね。
また持久的なトレーニングの強度の設定は、走っているペース(走り以外の様式であれば運動をこなす時間当たりの回数)だけでなく、心拍数でも表れます。
一般的には安静時の心拍数は60~70回/分程度、最大心拍数は220-年齢の回数/分(二十歳だと200回/分程度)だと言われています。
190回/分の運動強度を10分も20分も継続するのは困難なので、後に記してあるHIITなどを活用します。
持久的トレーニングの分類
持久的トレーニングは、運動強度や実施方法によっていくつかに分類されます。
今回は代表的な
・HIIT:High Intensity Interval Training(高強度インターバルトレーニング)
・中強度運動(LT:Lactate Threshold)
・低強度運動(LSD:Long Slow Distance)
について解説し、それぞれのメリットをご紹介します。
低強度運動(LSD)
LSD:Long Slow Distanceとはその名の通り、長い距離をゆっくり走るようなトレーニング。
強度でいうと最大心拍数の50~60%前後(最大心拍数が200の人なら120程度)です。
感覚的には「息は上がるけどおしゃべりは全然できるな」といった強度です。
このペースだと慣れれば1時間走るのも全然可能ですよね。
中強度運動(LT)
代表的な中強度運動の指標に、LT(Lactate Threshold)が挙げられます。
この強度以上になると、グリコーゲンが分解されてできた乳酸が少し蓄積され始めます。
イメージとしては身体の中の有酸素エネルギー生産工場に対する無酸素エネルギー生産工場の生産が多くなり、無酸素エネルギー生産工場の廃棄物であり有酸素エネルギー生産工場の材料でもある乳酸が増えてしまう。といった感じでしょうか。
ちなみにLT以上に無酸素エネルギー生産工場の生産が多くなり、乳酸の蓄積がもっと加速する点(4mmol/Lを以上)をOBLAと言います。
LTがどれくらいになるかは有酸素的能力(有酸素エネルギー向上が乳酸を処理できるスピード)によるのですが、一般的には最大心拍数の70%程度まで(最大心拍数が200の人なら140程度)ですが、持久的要素が大きく求められる競技のアスリートの場合、もっと高い心拍数がLTになることもあるようです。
高強度インターバルトレーニング(HIIT)
高強度インターバルトレーニングは、有酸素的な刺激を最大限得られるトレーニングですが、長時間継続はできない強度なので、インターバル(レスト)を挟みながら実施します。
お分かりの通り、この運動だと有酸素的な刺激も最大化すると同時に無酸素エネルギーも必要性が上がるので、血中乳酸濃度はうんと高くなります。
僕が実際にトレーニングを組む際には、
・40秒Work⇔20秒Restを6~10セット
・運動様式はランorローイングorバイクなど
で実施することが多いです。
しっかりと追い込めれば最大心拍数の90%以上(最大心拍数が200の場合は180回/分以上)にはなります。
終わった後は本当にぐったりして起き上がりたくなくなります。。
まとめ
今回は持久的トレーニングを組むうえで必要な基礎知識をまとめました。
トレーニングの時間配分とか、もっと深い理論、研究は大学同期の竹井くん(こちら)がすごく分かりやすいのでおすすめです。
次回は家でもできる持久系トレーニングについて紹介していきます!
執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)
自粛期間中のみなさん暇つぶしにでもなればと思い、期間限定(?)でYouTube始めました!
(反響が大きく、頑張る気が続けば継続するかもしれません笑)
是非いいねやチャンネル登録をお願いします~!
https://youtu.be/j_lgMCyyXMM
参考文献
1. Buchheit, M and Laursen, PB. High-intensity interval training, solutions to the programming puzzle: Part I: Cardiopulmonary emphasis. Sport Med 43: 313–338, 2013.
2. ストレングス&コンディショニングⅠ理論編
特定非営利法人NSCAジャパン, 2003.
素晴らしい記事をありがとうございます。
紹介していただいたトレーニングの頻度を週に何回するか部分についての考えを聞かせていただくことは可能でしょうか
テニスでは、振り回しという左右に走りながら球出しを、するほぼ持久力トレーニングのような練習メニューがあります
競技練習の負荷を考慮して、量を調整されることもありますか。
おっしゃる通り、競技練習が持久系トレーニングの負荷にもなり得るので、持久系トレーニングを週に何回どのように行うかは、競技練習の内容や選手のレベル次第ということになります。
そのため、最初の質問にはここでは答えかねます。