【第93回】《2019年》目標を定める&定期的な測定を開始する!
新年になり1週間が過ぎました。
そしていくつかの競技、特に大学スポーツではシーズンも一区切りのところも多いでしょう。
多くの選手はこの時期に新たな目標を立てていると思います。(もちろんですよね?まだであればこれを読み終えたらすぐに決めましょう。)
本日は目標を決めるときにいつも僕が指導者として気をつけていることをシェアします。
目標の原則
目標とは、そこに向かって最善の努力が伴わなければ意味がありません。
その目標を達成できることが1番なのですが、達成できなかったときも反省のきっかけになります。
これの繰り返しが成長につながります。
そのためには以下の原則が必要になってきます。
①具体的であること
②期限を決めること
③現実的であり、なおかつ挑戦的であること
例えば「今年は瞬発力をつけるぞ~!」という目標を立てたとしましょう。。。
達成できたかどうか、どう判断します?
自分の感覚?それ参考になります?
いつ判断しますか?年末?
達成できなかった~。2020年も同じ目標でがんばろう。ってなります?
一方で
「今、立ち幅跳びの数値が260㎝だから、7月までに275㎝!1~3月は基礎筋力をつけるためにスクワットの重量を110kg⇒120㎏に伸ばして、同時に立ち幅跳びの数値は265まで伸ばす。1月は時間もあるしスクワットのフォームをビデオで取りながら再確認も。4~6月はジャンプトレーニングを中心に行って1か月に3㎝ペースで伸ばして、7月までには275㎝!」
おお、、なんか一気に達成できそうな気がしてきました。。
この「7月までに~」というのが長期目標、「1月は~」というのが短期目標ですよね。
もう一度言いますが、
①具体的であること
②期限を決めること
③現実的であり、なおかつ挑戦的であること
それに加えて「長期目標」「短期目標」を決めること
これが目標の原則です。
フィジカル面は具体的な目標が立てやすい!
もちろんアスリートには「スキル」「戦術」「フィジカル」「メンタル」いろいろな要素が求められます。
競技によってはスキルを具体的に数値化できるものもありますが(バスケのシュート率など)、多くの競技では数値化できないスキルもたくさんあるでしょう。
(その中でもいかに目標を具体化できるかが非常に重要です!)
しかしながら「フィジカル」面はほとんどのものが数値化可能です。
体重、スプリントスピード、筋力(最大挙上重量)、ジャンプ力、持久力、、、
本日はこの中から、特に数値化しやすい、なおかつ測定もしやすいものについて紹介していきます。
持久力、瞬発力の簡易的な指標
持久力の指標
持久力の指標として有名なものとして【20mシャトルラン】が挙げられます。
学校体育でも用いられますし、皆さん1度はやったことはありますよね。
だいたいのタイマーには20mシャトルランの音声が入ってますし、Youtubeなどで探しても音源は見つかると思います。
目安としてバスケ選手であれば
最低基準:120回
目標 :140回
最終目標:160回
くらいでしょうか。
サッカー選手であればもう少し高く(+10くらい?)、ラグビー選手であればもう少し低め(ポジションによる)でもいいでしょう
女子選手であればこの数値ー10~20くらいでしょうか。
瞬発力の指標
瞬発力の指標として【立ち幅跳び】が有用です。
機材がメジャーくらいしかいらないし、測定方法によって数値が大きく異なる垂直跳びよりも違うデータ同士の比較もしやすいです。
立ち幅跳びは身長が高いとそれだけで数値が大きくなるので(着地で脚を遠くに伸ばせたりするので)、個人的には身長+何㎝かで評価することが多いです。
こちらも目安としては
最低基準:身長+80㎝
目標 :身長+100㎝
最終目標:身長+120㎝
くらいに定めています。
(球技スポーツ選手であれば共通して)
女子であれば、この数値ー20~30㎝くらいですね。
それぞれの測定数値に関連する要素
持久力を鍛えるために
20mシャルランや1500m走などのテストで測れる持久力というのは、ざっくりいうと
心肺機能×脚力
で決まります。
(厳密には最大酸素摂取量×ランニングエコノミーなので、脚力と表現するのは少し違うかもしれませんが)
心肺機能は長距離走、バイク、水泳、ロープを使ったトレーニングなど、様々な刺激で共通して鍛えられます。
脚力はベースとしてはやはり最大筋力(スクワットなどで鍛えられる筋力)があって、その上に、その動作を行い続ける能力が必要になってきます。
たとえば、長距離自転車選手はマラソンを走ると接地のストレスで脚がもたないかもしれないし、マラソン選手は長い間自転車を漕ぐといつも以上に足がパンパンになってなかなか焦げないですよね。
なので20mシャトルランの場合は、「走り続けることのできる心肺機能」「ベースとしての最大筋力」に加えて、ターンをしながら走り続けられる脚の筋持久力、が必要な要素になってきます。
心肺機能や脚の持久力を鍛える方法としては
●ペース走
●高強度インターバルトレーニング
●RSトレーニング(Repeated Sprint トレーニング)
などが挙げられます。
ペース走は数十分間、同じペースで走り続けるトレーニング
高強度インターバルトレーニングは~5分程度の強度の高いランを数本繰り返すもの
例えば3分間走を3本、レストは1.5分 など
RSトレーニングは高強度インターバルトレーニングよりさらに強度は高く、その代わりレストを長めに設定したトレーニングになります。
バスケ界でよく行われている2.25インターバルトレーニングなどはここに当たるでしょう。
瞬発力を鍛えるために
以前の記事でも紹介しましたが、瞬発力(ジャンプ力)はピラミッド型で上から
↗自体重ジャンプ
↗高負荷でのパワー発揮
↗最大筋力
↗筋肉量
になります。
下段から順に考えると、筋肉をつけて、最大筋力もUPして、クイックリフトで高負荷でのパワー発揮能力を鍛えて※、ジャンプトレーニング自体でジャンプ力を向上させる。という流れになります。
※クイックリフトは直接プロが指導してくれる環境でなければ行わなくても大丈夫です。
もちろん、足を速くしたい。という選手もジャンプ力の向上がスプリントスピードの向上につながるので参考になるはずです。
自分の弱点がどの部分にあるのかは、以前の記事をチェックしてみてください。
まとめ
もし目標の中に「瞬発力・ジャンプ力の向上」「持久力の向上」を含んでいたとしたら、これらの測定はできれば毎月行うことをおすすめします。
あ、あともちろん体重は毎日計りましょうね。
自分の行っていることの方向性があっていれば、多少上がったり下がったりはありながらも、数か月で必ず成果は出るはずです。
逆に3か月たっても向上が見られないのであれば、やり方、頑張り方を変えることをお勧めします。
これは、スキル的な目標も一緒。
こういった振り返りをするためにも
①具体的であること
②期限を決めること
③現実的であり、なおかつ挑戦的であること
以上を意識して、まずは長期目標、短期目標を決めましょう!
執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)