【第71回】ピリオダイゼーションの必要性、使い分け

ピリオダイゼーションとは、目的に応じて時期ごとにトレーニングの内容(変数)を変えていくことです。

「〇〇〇ピリオダイゼーション」とか「サッ〇〇のためのピリオダイゼーション」とか、いろいろな形が巷には出回っていますが、まず大事なのはその形にこだわることではなく

①なぜピリオダイゼーションが必要なのか
②各ピリオダイゼーションの形でどのような効果の違いがあるのか

を知ること。

それらを抑えておけば状況に応じて様々な使い分けができますもんね。

ピリオダイゼーションの目的と、基本的(伝統的)な形である線形ピリオダイゼーションについては以前の記事で説明しました。

ざっくりその内容を復習すると
・同じ負荷ばかりだと身体が慣れて効果が薄れていく
・全部の体力要素を1つの時期に詰め込んじゃうとオーバートレーニングになっちゃう
そのため時期によってトレーニングの内容を変えたほうが良いということでした。

これがピリオダイゼーションを用いた方が良い理由です。

理論的にはそうなのですが、実際にピリオダイゼーションを用いた場合と用いなかった場合ではどのような違いがあるのでしょうか?

Periodized vs Non-Periodized

Williamsら(2017)は、それまでに発表された研究を集めてピリオダイゼーションをされたトレーニング(Periodaized)とそうでないトレーニング(Non-Periodized)の効果をメタアナリシスで比較しました。

その結果、18の研究が採用され、平均介入期間は12.3±7.6週間でした。

そしてPeriodizedとNon-Periodizedの違いの効果量(ES)は
0.43(0.27~0.58)(95%CI)
を示しました。

このESは、この研究においてはベンチプレス11.4kgに相当するようです。
こう聞くとなかなかですよね。

このように、エビデンスレベルの高い研究(メタアナリシス)においてもピリオダイゼーションの有効性は証明されています。

様々な種類のピリオダイゼーション 効果の比較

そしてそのピリオダイゼーションには様々な形のものがあります。

代表的なものとして
●線形ピリオダイゼーション(Liner Periodization)
●非線形(波状)ピリオダイゼーション(Undulating Periodization)

そして非線形ピリオダイゼーションの中には
・日ごとに負荷を変えるDaily Undulating Periodization
・週ごとに負荷を変えるWeekly Undulating Periodization
があります。

たとえば、9週間の中で8RM、6RM、4RMと強度に変化を加える場合、以下のようになります。

そしてこの線形ピリオダイゼーションと非線形ピリオダイゼーションの効果の違いをHarriesら(2015)は以下の図のような結果を報告しています。

#22 Harries et al., 2015

ベンチプレス、レッグプレス、スクワットの効果量の差(非線形vs線形)が比較されていますが、
どれも95%信頼区間が0をまたいでおり、どちらかに大きな効果の偏りがあるとはいえない結果になりました。

(レッグプレスに関しては非線形のほうが効果量が大きい傾向にあります。この結果を引っ張ている研究が採用された研究の中に2つ(Miranda et al., 2011; Monteiro et al., 2009)あり、それらからこの結果の考察もできるのですが、長くなるので省きます。。)

個人的にはトレーニングレベル別での解析も行ってほしかったです。
研究間の異質性(I²)がそこそこ大きくなっている原因にもなっていると思うので。

おそらく、上記2つの研究で非線形ピリオダイゼーションの効果が優れていた原因もそのあたりに起因すると思うので。

まとめ

ピリオダイゼーションを用いたほうが、そうでない場合に比べて筋力獲得の効果は大きいです。

毎回、何週間も同じ負荷をかけ続けるのは効率が良くないので、時期ごと、日ごとにかける負荷は変えましょう。

基本的にピリオダイゼーションの種類(線形、非線形)によって筋力獲得の効果に差はないようです。

そのため競技のスケジュールに合わせて一番都合の良いピリオダイゼーションモデルを用いたり、時期によって使分けるのが良いのではないでしょうか。

例えば、毎週末に試合が続く場合は、週の頭に中強度で総負荷高め、週末には高強度で総負荷低めで行うとか(Daily Undulating Periodization)
次の重要な試合まで数か月期間があり、大幅な増量が必要な場合はまとめて総負荷高めのトレーニングをまずは行い、徐々に強度を高めていくとか(Liner Periodization)

背景にある考え方や、各モデルの効果の科学的な情報を知っておけば、どんな状況にも対応できますよね。

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)


2018年初記事でした。

正月は友達と鎌倉にいったりゴロゴロしたり仕事したりゴロゴロしたりして過ごしました。

この冬でメインで見ていたチームを離れることになりましたが、おかげ様で色々なところからポツポツとお話をいただき、今年もなんとか生きていけそうです。笑

パーソナルトレーニングのお話をいただくことも多いのですが、場所をどこでやるか問題が発生しております。。いくつか許可をいただいている場所はあるのですが。

完全に個人で活動されているパーソナルトレーナーのみなさんって、基本的にどこでセッションを行っているんでしょ?

何か情報があれば教えてください~


 

参考文献

  1. Harries, SK, Lubans, DR, and Callister, R. Systematic Review and Meta-analysis of Linear and Undulating Periodized Resistance Training Programs on Muscular Strength. J Strength Cond Res 29: 1113–1125, 2015.Available from: http://content.wkhealth.com/linkback/openurl?sid=WKPTLP:landingpage&an=00124278-201504000-00035
  2. Miranda, F, Sim??o, R, Rhea, M, Bunker, D, Prestes, J, Leite, RD, et al. Effects of linear vs. daily undulatory periodized resistance training onmaximal and submaximal strength gains. J Strength Cond Res 25: 1824–1830, 2011.Available from: http://content.wkhealth.com/linkback/openurl?sid=WKPTLP:landingpage&an=00124278-200907000-00039
  3. Monteiro, AG, Aoki, MS, Evangelista, AL, Alveno, DA, Monteiro, GA, da Cruz Picarro, I, et al. Nonlinear Periodization Maximizes Strength Gains in Split Resistance Training Routines: J Strength Cond Res 23: 1321–1326, 2009.Available from: http://content.wkhealth.com/linkback/openurl?sid=WKPTLP:landingpage&an=00124278-200907000-00039
  4. Williams, TD, Tolusso, D V., Fedewa, M V., and Esco, MR. Comparison of Periodized and Non-Periodized Resistance Training on Maximal Strength: A Meta-Analysis. Sport Med 47: 2083–2100, 2017.

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