【第144回】筋トレのセット間レストの過ごし方

ウエイトトレーニングのレストの時間、どのようにして過ごしていますか?

公共のジムを見渡しても過ごし方は人それぞれです。

スマホをいじる

時間を測りながらただ座っている

スーパーセットで2つの種目を交互に行っている

仮にエクササイズの実施時間が30秒でレストが1分半だとしたら、60分のトレーニングのうち45分はレストの時間ということになります。

このレストの過ごし方でパフォーマンスが変化するとしたら面白いですよね。

本日はウエイトトレーニング中のレストの過ごし方の研究についてまとめたシステマティックレビューの中から、役立つ情報をいくつか紹介していきます!

 

ウエイトトレーニング中のレストの過ごし方

Latellaら(2019)は2018年の3月までに発表された「ウエイトトレーニング中のレストの過ごし方」について検証した査読付きの英語で出版された論文を、以下の条件で抽出しました(1)。

・従来の何もしないレストと、介入群(レスト中に何か行う群)との比較

・急性効果を検証した研究(長期的な変化ではなく、そのときのトレーニング中の変化)

・トレーニングの重量や生理学的指標を調べたもの

その結果26の研究が採用されました。

以下にいくつかを抜粋して紹介していきます。

ストレッチ

ストレッチは
・主働筋の静的ストレッチ
・拮抗筋の静的ストレッチ
・ダイナミックストレッチ
の3つの分類されました。

※主働筋:動作で主に使われる筋肉。アームカールでいうと上腕二頭筋など
 拮抗筋:動作で主に使われる筋肉と逆の働きをする筋。アームカールでいうと上腕三頭筋

運動前の主働筋の静的ストレッチはパフォーマンス(筋力やパワー)を低下させることが明らかになっています。

(詳しくはこちら→【第54回】ストレッチの誤解~運動前のストレッチ

このレビューにおいても、レスト中の主働筋の静的ストレッチはトレーニング中の挙上速度を低下させたことが紹介されています。

レスト中の拮抗筋の静的ストレッチにおいては
・挙上可能回数の増加
・主働筋のEMG(≒筋活動)の増加
が認められています。

一方でダイナミックストレッチであれば、レスト中に主働筋に対して実施してもパフォーマンスが低下したという報告はなく、3つの研究のうち1つでは挙上可能回数が増加したことが報告されています。

レスト中にストレッチを実施する場合は、ダイナミックストレッチであれば無難でしょう。

静的ストレッチの活用についてはもう少し掘り下げた考えが必要になるので、これはまた次回解説します!

 

有酸素運動

有酸素運動については5つの研究が採用され、そのうち3つでは

・挙上可能回数の増加

・乳酸濃度の低下

・RPE(主観的疲労度)の低下

などが認められました。

これは少し以外だったのですが、セット間の有酸素運動はただ休んでいるだけよりもウエイトトレーニング中のパフォーマンスを向上させるようです。

有酸素運動の強度が大事なようで、疲労が溜まるような強度では行わず、低強度で実施することがポイントなようです。

「乳酸は疲労の主要因ではない」ということは徐々にスポーツの世界でも認知されてきています。

むしろ乳酸自体が大事なエネルギー源でもあるため、長時間のパフォーマンスの発揮には必要なものであることも知られてきています。

しかしながら乳酸の蓄積がアシドーシス(筋の酸性化)につながるとは考えられるので、ウエイトトレーニングのような無酸素系の運動においては乳酸の濃度を有酸素運動で下げることによって、挙上可能回数が向上したのではとレビューでも考察されています。

しかしながら乳酸などの代謝産物の蓄積が筋肥大のトリガーになる可能性も示されているため(2)、長期的な筋肥大に関してはこの有酸素運動による挙上可能回数の増加というポジティブな側面が打ち消される可能性も考えられます。

 

マッサージ、フォームローリング

マッサージやフォームローリングに関する研究はこのレビューに4つ採用されているのですが、すべての研究において挙上可能回数が低下したことが報告されています。

運動前のフォームローリングに関するメタアナリシスにおいては、パフォーマンス(筋力やパワー)の低下を伴うことなくROMを向上させることが報告されています(3)。

詳しいメカニズムは分かりませんが、運動前のフォームローリングはパフォーマンスを阻害しない一方で、レスト中のフォームローリングはパフォーマンスを阻害する傾向があるようです。

メカニズムの解明も含め、今後の研究に期待ですね!

 

まとめ

ウエイトトレーニングのレスト中のフォームローリングは挙上可能回数を阻害する可能性がありますが、トレーニング前のフォームローリングはパフォーマンスを低下させることなくROMを増大させる効果認められています。

実施のタイミングというのが非常にキーになりそうですね。

また

・拮抗筋の静的ストレッチ

・主働筋を含むダイナミックストレッチ

・低強度の有酸素運動

はウエイトトレーニング中のパフォーマンスを向上させる可能性が示唆されています。

しかしながら有酸素運動自体にウエイトトレーニングの適応に対する相互干渉作用がありますし(4)、乳酸を消費し過ぎることでの筋肥大の適応の阻害も起こりうるかもしれません。

バイクでしっかり有酸素運動というよりは、座り込まずに少し歩く程度のほうが良いかもしれないですね(僕も割とこうしていることが多いです)。

まだ分かっていないことの多い分野ですが、これらの情報を参考に自分なりのレストの過ごし方を確立していってください!

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)


7月は仕事忙し月間だったのと、ブログ以外のもろもろの執筆の作業が多かったため、久々の更新になりました。。

オリンピックも佳境ですね。

普段から応援している選手が活躍しているのを見るのは感慨深いです。

これから暑い日も続きますが水分・ミネラルしっかり摂って頑張りましょう~


参考文献

  1. Latella, C, Grgic, J, and Der Westhuizen, D Van. Effect of interset strategies on acute resistance training performance and physiological responses: A systematic review. J Strength Cond Res 33: S180–S193, 2019.
  2. Schoenfeld, BJ. The mechanisms of muscle hypertrophy and their application to resistance training. J Strength Cond Res 24: 2857–2872, 2010.
  3. Skinner, B, Moss, R, and Hammond, L. A systematic review and meta-analysis of the effects of foam rolling on range of motion, recovery and markers of athletic performance. J Bodyw Mov Ther 24: 105–122, 2020.Available from: https://doi.org/10.1016/j.jbmt.2020.01.007
  4. Wilson, JMJM, Marin, PJPJ, Rhea, MR, Wilson, SMC, Loenneke, JP, and Anderson, JC. Concurrent training: a meta-analysis examining interference of aerobic and resistance exercises. J Strength Cond Res 26: 2293–2307, 2012.Available from: http://journals.lww.com/nsca-jscr/Fulltext/2012/08000/Concurrent_Training___A_Meta_Analysis_Examining.35%5Cnhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22002517

 

 

 

 

 

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